★★★ 向日葵と太陽 著:萌様
自分達は向日葵と太陽。 お互いの方を向いたままで。 その想いは離れる事はないんだ。 修行中、ふと眼下を見ると花畑があった。 「すげえなぁ!!」 黄色い、自分の背丈ほどの大きな花が一面に広がっている。 修行を中断してそちらの方へ行ってみる。 「すげえなぁ、チチ喜ぶかな?」 ふとチチの顔が浮かぶ。 チチの笑っている顔を思い浮かべると自然と頬が緩む。 「よし!!明日連れて来てやっかな!!」 悟空は花畑を傷付けないように、その場から離れて修行を再開させた。 次の日、悟空はチチを伴って例の花畑に来た。 「わあ!!すげえ向日葵畑だべ!!」 チチは目をキラキラさせて感嘆の声をあげた。 「ひまわり?」 「そうだべ、向日葵だべ!!おら、この花好きなんだべ!!」 嬉しそうに頷く。 悟空はそんなチチの様子が心の底から可愛いと思う。 つい最近まで知らなかった感情。 チチと結婚してから知った、チチに対して感じる想い。 「チチはこの花好きなんか?」 またチチの好きな事を知れた喜びもちょっと隠して。 「うん、好きだべ。だって向日葵っておらなんだもの。」 「チチがひまわり?」 悟空はキョトンとしている。 「そうだべ。向日葵って太陽の方を向くんだ。」 「へえ。でも何でチチがひまわりなんだ?」 悟空は疑問を口にする。 チチは眩しそうな顔で言う。 「だって悟空さは太陽なんだもの。だからおらは太陽の方を向く向日葵なんだべ。おらは悟空さの方しか見ねえもん。」 ニコッと笑うチチに、悟空の顔は熱くなった。 チチは「ホントすげえなぁ!!」と向日葵畑の中をクルクルと回りながら跳ねて行く。 悟空はそんなチチの後ろ姿を茫然と見つめていた。 (オラの方がひまわりだ。オラはオメエから目が離せねえ。オラの心を掴んで離さねえオメエの方が太陽だ。) まるで舞っているようなチチを追う。 キラキラと降り注ぐ夏の日差しが、チチと向日葵と眩しく照らしていた。 二人はお互いの向日葵と太陽。 お互いの方を向いたままで。 その想いは、永遠に離れない。 end ←戻る[作品/TOP] ★★★ |