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向日葵と太陽
著:萌様




自分達は向日葵と太陽。

お互いの方を向いたままで。

その想いは離れる事はないんだ。


 修行中、ふと眼下を見ると花畑があった。

「すげえなぁ!!」
 黄色い、自分の背丈ほどの大きな花が一面に広がっている。
 
 修行を中断してそちらの方へ行ってみる。
「すげえなぁ、チチ喜ぶかな?」

 ふとチチの顔が浮かぶ。

 チチの笑っている顔を思い浮かべると自然と頬が緩む。

「よし!!明日連れて来てやっかな!!」
 悟空は花畑を傷付けないように、その場から離れて修行を再開させた。

 次の日、悟空はチチを伴って例の花畑に来た。
「わあ!!すげえ向日葵畑だべ!!」
 チチは目をキラキラさせて感嘆の声をあげた。
「ひまわり?」
「そうだべ、向日葵だべ!!おら、この花好きなんだべ!!」
 嬉しそうに頷く。

 悟空はそんなチチの様子が心の底から可愛いと思う。
 
 つい最近まで知らなかった感情。
 チチと結婚してから知った、チチに対して感じる想い。

「チチはこの花好きなんか?」
 またチチの好きな事を知れた喜びもちょっと隠して。

「うん、好きだべ。だって向日葵っておらなんだもの。」
「チチがひまわり?」
 悟空はキョトンとしている。

「そうだべ。向日葵って太陽の方を向くんだ。」
「へえ。でも何でチチがひまわりなんだ?」
 悟空は疑問を口にする。

 チチは眩しそうな顔で言う。
「だって悟空さは太陽なんだもの。だからおらは太陽の方を向く向日葵なんだべ。おらは悟空さの方しか見ねえもん。」

 ニコッと笑うチチに、悟空の顔は熱くなった。

 チチは「ホントすげえなぁ!!」と向日葵畑の中をクルクルと回りながら跳ねて行く。

 悟空はそんなチチの後ろ姿を茫然と見つめていた。

(オラの方がひまわりだ。オラはオメエから目が離せねえ。オラの心を掴んで離さねえオメエの方が太陽だ。)


 まるで舞っているようなチチを追う。

 キラキラと降り注ぐ夏の日差しが、チチと向日葵と眩しく照らしていた。

二人はお互いの向日葵と太陽。

お互いの方を向いたままで。

その想いは、永遠に離れない。



 end



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