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たまには…
著:萌様



たまにはオシャレをして、手を繋いで人ごみを歩きたい。

毎日一緒にいても、

夫婦だとしても、

デートはしたいって思う。


「悟空さ、今日の修行お休みにしてけれ。」

 チチはいつだって唐突だ。

「へ?何でだ?」
 ご飯を口いっぱいに頬張りながら、悟空は訊ねる。

「お買い物。ついて来てけれ。」
 チチはおかわり、と茶碗を差し出してきた悟空にご飯をよそってやりながら言う。

「買いモン?オメエいつも一人で行ってんじゃねえか?」
「たまにはいいでねえけ。悟空さと一緒に町さ歩きてえもん。」
 そう上目遣いで言うチチが限りなくかわいいと悟空は思う。

「…でもなぁ…修行もしてえし…。」
 それでも修行が大事な気持ちもあって。

「…悟空さ…おらの事大事じゃねえんだべ…おらなんかより修行のが大事なんだべ…。」
 ちょっと拗ねた感じで言う。

「誰もそんな事言ってねえだろっ!?」
 悟空にとってはチチも修行も比べものにならないくらい大事だけど、「チチも修行も同じくらい大事」なんて言うと、「おらと修行は同じだかっ!?」と、また癇癪を起こしかねない。
 下手すれば飯抜きだ。

 拗ねてそっぽを向くチチに、悟空は観念したかのように言う。

「わかったよ!!今日は修行休むっ!!」
「ホントけ!?」
 一瞬にしてパアッと花が開いたように顔を明るくするチチにドキッとする。

(…ああもう勝てねえなぁ…。)

 嬉しそうに出掛ける支度を始めるチチを尻目に嘆息しつつ、たまにはいっか。と思う悟空であった。

 end



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