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星に願いを(チチVer.)
著:萌様



例え遠く離れていても
生きている限り
会えるのだから−

「今日は晴れてよかったべ…。」
 子供達が寝静まった後、笹に飾られた短冊を見て思う。
 色とりどりの短冊に込められた願い。

『偉い学者になれますように。』
『新しいおもちゃが貰えますように。』
 丁寧な字にミミズが這っているような字。

『お父さんに会えますように。』と書かれた短冊を見たのはいつだったか…。

 窓から夜空を見上げれば満点の星空。
「…あの子達の願いも叶うといいべな。」
 少し苦笑混じりに独りごちる。

「おめえ達はいいな。1年に1日でも会えるんだから。」
 満天の星空を見上げ、空の恋人達を羨ましく思う。

 そっと取っておいた短冊を一枚手に取る。
 悟空がこの世を去ってから毎年綴られる同じ願い。
 七夕の夜、子供達が寝静まってから次の日起きて来るまでしか飾られない短冊。
 それでもその想いは、とても強くて、いつか見た短冊と同じ。

『あの世ででもいいから、悟空さに会いたい。』

 この願いが叶うのは、もっとずっと先、自分が死んだ時かも知れない。
 それでも、書かずにはいられない願いは永遠で。

「死なねぇ限り、また会えるんだべ。」
 空の恋人達に語りかける。

 その時、ふと硬いけれど優しいものに包まれた気がした。
 その感触はとても夫の腕に似ていた。
「…悟空さ…。」
 今はその感触に身を委ねて。


 星がチチの願いを叶えてくれるのは、悟空の死から7年後の事―。


 end



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