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ソラさん/ギンイヅ

曲名:reila
歌手名:ガゼット
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 ■に囚われ、
     籠り■■






月明りの美しい十五夜でした。
夜も深い丑三つ時、僕は目が覚めました。胸騒ぎがするのです。
おもむろに立上がり、心が誘うままに僕は歩きました。

3番隊宿舎も抜けしばらくすると、あまり使われてなさそうな宿舎の一室で胸騒ぎがぴたりとやみました。

戸をひくと格子窓から入りこむ光だけで十分部屋の様子が確認できます。
そこには一組の布団が敷かれ、布団の上に白く大きな影が寝て居るだけでした。
それ以外何もないと言っていいほどで、月明りが余計に物寂しさを際立てました。



「市丸たいちょう……」

そこに居たのは焦がれてやまない隊長でした。
眠っているその表情は安らかで、思わずぺたりと触れた肌はなめらかでしたが余りに冷たく、ぴくりと手を引いてしまいました。

何故、と問い掛けてもそれは独り言にしかなりません。


僕は不安になり堰を切ったように何度も何度も名前を呼び続けました。
否、叫び続けた。
声が嗄れるまで。
声が嗄れても。
何度も、何度も。
何度も。

涙は溢してはいけません。
隊長は眠っているだけだと言い聞かせ続け、痛みを訴える想いには蓋をすることにしたのですから。


「……はやく、おきてください」

いつだってそうでした、隊長は僕を一人残してふらりと居なくなってしまう。

だけれどそれは隊舎から出たり街へ繰り出したりするだけだったから僕は寂しいなんて思わなかったんです。
貴方は帰ってきてくれたから。僕の場所に。

貴方は今此処に居る。
でも世界には、居ない。

脳ははっきりと理解していました。認めてしまうことで、更に遠く感じてしまいそうで恐ろしかっただけ。
そう、認めたくないんです。

そう考えているうちに元来、体温が低いのだから今これは眠って居るだけだと思うようになりました。
目が覚めたら、たまには僕も休暇を頂いて遊びに行きましょう。

暗い部屋で僕はすっかり嗄れてしまった声のまま、名前を呼んで微笑みました。




巡りゆくときのなか、僕は副隊長の任を降りて居ました。
僕はこれ以上の変化を望んでなかったのです。
どれほど中途半端なことをしたと罵られようと、僕にとって恐ろしいことは一つしかないのです。

心が壊れそうで蓋をしたのに、蓋をしたことで僕は何年も貴方に囚われています。
葬儀も見ました。墓石の下に消えて行くのも見届けました。
ですがあれは肉塊でしかなく、僕の隊長では、ないんです。

あの日から十五夜はもう36回目を迎えました。



あなたへの思慕は捩り曲がり、そうして歪みながらいつまでも残留しています。
それはすでに思慕ではなく、狂愛へと形を変えていました。

なぜ貴方は帰ってこないのですか。
なぜ貴方は笑ってくれないのですか。
僕を困らせるのがそんなにも楽しいのですか。

いつまでも貴方と過ごした部屋で待ち続けているのに。







僕はこんなにも戀をしているのに。







■おわり■■



未だに、という言の葉は飲み込む。理解しているからこそ、こわいんだ。

ソラさん企画参加ありがとうございましたっ!!
歌詞がもろ死ねただったので、まずどっちを…から悩んでしまいました(>_<)
曲にどくとくの雰囲気があって、ちょっとこわかったです。
歌詞イメージ小説になってないかもですが、もらってやってくださいませ(ぺこっ)


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