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●大切なもの●●






「ユウーっ!」



馬鹿でかい声で俺の名前を呼ぶラビに溜息をつく。

最近、このバカはマイブームがあるらしい。
その下らないことで俺はいつも被害に合い、いつものように振り払う。


「やめろっ!壊さないと諦めつかないのか!!」
「いんや、オレの辞書に諦めなんて文字ないんさ!」

ふっと不敵に笑うこいつはなかなかで、見惚れるやつもいるんじゃないかとも思うけれど。


「じゃあ壊してやるっ!てめぇの携帯寄越せっ!!」

次がくるまでの短い間でも平穏を手に入れられるならば、こんな電子機器ぐらい気持ち良く壊してやらあ。


「そんな渡せって言われて素直に渡すバカいないさ〜。ユウ、今日こそは観念っ!」

スチャ、と構えられた手にはドハデな真っ赤な携帯。髪色と揃えたみたいな色だ。ストラップがじゃらじゃらついていて、うざったい。
フラッシュが、光る……


「っ!!」

「……あーっ!またブレた!!ユウちょっと動かないでよ。オレ、携帯のメモリユウの写真でいっぱいにしたいんさー。」

そう、最近目覚めたらしいこいつのマイブームは写メ機能だった。
つーか……俺を写すことらしい。
やめてくれ、ラビが携帯にはまるのは勝手だが俺に被害を加えんな。寒気がする。


「っざけんな!俺をそんな私利私欲のために巻き込むなー!!」
「ユウちゃんそんな怒んないの。まっ、今日はこれぐらいにしとくさ。
んじゃまた後でね〜。」

颯爽と帰って行くのと同時になるチャイム。
貴重な休み時間がバカ騒ぎで終わってしまったと、こっそり溜息をつく。


「ふふ、大変ね。いつもいつも。」

同じクラスのリナリーが定着しつつある光景に笑っていた。


「そう思うなら少しは助けろ……」
「あら、神田がそんなこと言うなんて珍しい。」

ふふ、と微笑んだその表情は天使か悪魔か。
ああ、そうだった。こいつも俺をからかうのが好きだった……。
俺はまた溜息をついて頬杖をつきながら前をみた。もうすぐ退屈な授業が始まる。



先生が来る前に少しだけ、と静かに自分の携帯を開く。

ぐっと緩みそうになる口許を引き締める。


「神田、先生来たわよ。」

「あ、ああ。」


慌ててしまった携帯は黒。ストラップなしの飾りっ気のないそれの、一つだけ装飾品ともいえるほどハデなもの。
それは携帯のフォルダにあった。


口をぽっかり開けて幸せそうに眠るラビの画像が、こっそりと保存してあるんだということは、絶対に、絶対に秘密だ。








●おわり●●




何が書きたかったっていうと最後です!
こっそり保存してある写メいいなあって!
んでわお付き合いありがとうございましたっ(>_<*)





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あきゅろす。
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