エイプリルフールネタ 山→獄
窓から差し込むオレンジ色の、温かい夕陽と静寂が、オレ達を包む。
教室内にはオレと獄寺、2人だけ。
なぜ2人きりなのかと言うと、ツナが先生に呼び出しをくらったから。
オレは今回、テストで赤点とらなかった(と言ってもぎりぎりだったけど)から呼び出されなかったんだけど。
で、待っていると約束した獄寺に付き合って、オレもツナを待っている。
3人で雑談をしながら帰るのは、楽しい。
けど。
オレが「待つ」と言った目的は、他にある。
それは、窓に寄りかかって煙草をふかしている、獄寺。
こいつと2人きりになれるから。
獄寺が好き。
それに気付いたのは何時頃だったか。
忘れちまったけど。
色素の薄い、さらさらした髪とか、
それと同じ色の綺麗な目とか、
ちょっとしたときの仕草とか。
こいつを纏うすべてのものが、輝いて見える。
「なぁ…獄寺」
声を掛けてみたら、不機嫌そうな顔と声だったけど、ちゃんとこっちを見てくれて。
「…なんだよ」
夕陽の逆光が、更に獄寺を綺麗に見せる。
「好きだ」
言ってしまった。
言ったら、この“トモダチカンケイ”が崩れてしまう。
そんなこと分かっていた。
でも、この気持ちを消すことなんて、出来なくて。
「…馬鹿なこと言ってんじゃねぇ」
そう言って新しい煙草に火をつけた。
「オレは男だ」
伏し目がちな綺麗な目が、オレだけを見ている。
嬉しいはずなのに。
胸が締め付けられる。
「獄寺、今日エイプリルフールだぜ」
いつもの顔で笑った、つもり。
分かってる。
あいつには、好きな人がいて。
オレなんて目にもはいってねぇこと。
でも、ほんの少し
ほんの少しでもオレを見てくれたら。
なんて期待を込めて言った、告白の言葉。
嘘なんかじゃねぇよ。
獄寺が好き。
本当だから。
だから、これからも
“イイトモダチ”で、いさせてくれよ。
今年のエイプリルフールは、涙味。
山獄でなく、山→獄が好きです。
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