構成要素
・童貞の道程のその後
・政宗さん(雌)の真田いじり
「真田」
「何でござるか?」
「…………い」
「え?」
「臭い」
「え…………ぬぉおおおぉああああああ!!!?」
幸村は凄まじい速度で飛び上がり部屋の壁にどしんと背中を追突し、血相を変えて慌てだす。
「そっそれがし、昨日はきちんと風呂に入りましたぞぉお!」
ふんふんふがふがと、己のそこらじゅうを嗅いでは言い訳を並べ立てる幸村は、その額に汗をかく程慌てていた。
「…………」
今しがた寄り添っていたのが嘘のように幸村を冷ややかに見つめながら、政宗は腰掛けていたベッドから立ち上がった。
「まっ、政宗殿!某はどのように匂うのでござるかぁ政宗殿っ!お恥ずかしながら某は皆目見当がつかぬ故、お教えいただきた、うぉッ!??」
ひゅんと空を切る鋭い音とともに突如眼前に迫った何かを、幸村は寸でのところで回避した。
尻餅を付く形になった幸村は、一体全体何が起こったのかと竦めた首を上げ、ぎゅうと閉じていた目を恐る恐る開いた。
「は……」
幸村は息を飲んだ。
部屋の蛍光灯を背負う政宗は暗い。
飛び蹴りを寸止めした姿勢で綺麗に静止する政宗の、大きく開いた脚。
制服の政宗のそれは、幸村から見て丸見えだった。
「おぁおぉお…」
珍妙な声が上がり、たっぷり5秒は凝視した後、ばちんと音を立て、己の顔を手で覆った。
「ま"!さむねどのぉ何、な何を…!!」
「だから臭ェつってんだよ」
政宗の声は噛み殺せない笑いに震え、静かに下ろされる脚のゆく先は、
「Ahー…」
「ぐぎぃっ!!!?―――――!!――――!」
断末魔が響き渡る中、政宗は言った。
「ああ童貞臭い」
幸村の股に食い込んだ足に力を込めれば、幸村の悶絶する濁音が喉から溢れ、くの字に折り曲げた身体が痙攣している。
政宗はゆっくりと笑んだ。
ぐりぐりと足を動かせば、更に声の苦悶は増す。
「あ"ぁああぐ、ぐぎぃあ、お"やめぇぐださ…あ"あ"ぁ"あ"…ッ"!?」
「…アンタのそのキッツい匂いはいつになったら消えるんだ?」
「あ"〜〜〜〜!!!」
「俺が隣に居るだけでerectionしやがって……まして今なんか…、」
「ひィ"い"いぃ"っお"やめ"ぐださ…」
「完勃ちしてるじゃねぇか」
「あぐ、あぐぅ」
震える手が足首にまとわり付くのがおかしくって欝陶しくて、幸村の身などお構い無しに踏みつけた。
固くて熱い感触が、足先からじんわりと痺れを連れて政宗を静かに蝕んでいく。
「〜〜〜〜〜〜!!!っく、」
詰めた息が吐き出されるまで、一瞬だった。
ただそれは、政宗には長く甘美な時間で、幸村の瞑った目の、瞼の、睫毛が震えるのも、興奮して血色溢れる赤い唇も、その隙間から見える食い縛った白い歯も、垂れそうになるよだれも、放出に合わせてびくりびくりと足首を、遠慮がちに握るかさついた指先も、そして足先に感じる熱が、脈動が、政宗の心を締め付ける。
足を離すと、政宗は幸村の前にしゃがみ込んだ。
力なく開きっぱなしの脚の間、政宗は幸村の頬を優しく包む。
とろんとした瞳は今にも眠ってしまいそうで、この状況に不釣り合いな子供っぽさに政宗がいとおしげに目を細めた。
半開きの唇を、指先でなぞりながら呟く。
「でも…」
すっかり放心して壁にうなだれる幸村の首に、政宗はそっと腕を回し、首筋に顔を埋めたまま息を深く吸い込んだ。
「嫌いじゃねぇ…」
おしまい
20111229
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