構成要素
・小雌政
・エロ無し
・童貞の道程の一週間前くらいのはなし
以上よろしければ、どうぞ↓
ピチャン…
天井に結露した水滴が、湯船の水を打つ。
反響する音はやがて、微かに立ち上る湯気に消えていった。
今日も、おてんばで破天荒な主に振り回されっぱなしだったが、何故だか不思議と充足を感じる。
思えば最初は、政宗の父付きの秘書だった。
が、その主人が離婚したのをきっかけに、小十郎が政宗の世話をするようになった。
こんな強面の武骨な男が、主人の大切な娘なぞ預かることは出来ないと、小十郎も最初は辞退した。
だが彼の手腕と、何より人となりを買ってのことだと、主人には押し切られ、今に至る。
あれから長く年月が流れ、政宗ももう思春期の女子。
何かとややこしい年齢のやんちゃ娘に手を焼いていたが、それでも今の主である政宗の事を誰よりも大切にし、一番に彼女の幸せを願っている。
与えられた職務という枠を越え、小十郎は政宗を、その身の全部をもって、育ててきた。
湯船につかりながら、小十郎はつらつらと今までのことに思いを馳せた。
そして思う。
(政宗様も…もう17歳か…)
相変わらず発育はぼちぼちだが、時折、仕草や行動のなかにちらつく「女」を見ることがある。
なんだか複雑な気分になって、小十郎は目を
ガラガラガラァッ!
閉じれなかった。
扉が突然開いた。
湯気がそちらにむかって逃げていく。
その先に、仁王立ちで立つ人物。
「……」
無言で見下ろしてくるその人は、小十郎の良く知る…否、良くどころではない。育ててきたのだから当たり前に知っている。
そう。
政宗が、立っていた。
それも、一糸まとわぬ姿で、お気に入りのアヒルを片手に掴んで。
「…政宗様、もうすぐ上がりますのでそれまで服を着て「NO!」
意外にも冷静な小十郎は湯船から上がろうとする。
今更我が子のような政宗に羞恥も起きない。
しかし凛とした声が小十郎を制した。
入浴剤の入った水面を揺らし、出かかった湯船の中で小十郎は止まった。
「それじゃあ意味ねぇだろ。一緒に入んだよ」
「政宗様…」
政宗が突拍子もない行動を取るのは今に始まったことではない。
しかしさすがに、こればかりはよろしくないだろう。年頃の娘の心理に疎い小十郎にだってこれは分かる。
いくら育ての親だからといって、17の女子と風呂に入るのはさすがにいただけないだろう。
いや、実の娘でない分余計にまずいのか。
一度は制された小十郎だが、湯船をざばと出た。
すたすたと風呂場を出ようとするが。
「Stop!待てって言ってんだろ」
ガンを飛ばされた。
上から睨み付けてくる目は父譲りの鋭いそれだ。
しかしそんなもので小十郎がひるむはずもない。
ただ問題なのは、政宗が裸で、押し退けるにも押し退けられない状況であることだ。
風呂場と脱衣所を繋ぐ出入口でとおせんぼするように仁王立ちする政宗を、除けるスペースさえ無いそこで、小十郎は軽く窮してしまった。
(またこの方は…今回は一体何だ…?)
政宗が健やかに育ってくれるならば、多少のやんちゃやわがままは自分が受けとめてやろう。ただでさえ母から満足に愛情をもらえなかった空白があるのだ。
それが少しでも埋まるのならと、そう思っていたが。
(なにか不穏な予感がする…)
小十郎の保護者センサーが告げる。
ここは諫めるべきだと。
「政宗様、そこをどいぐぁ…!?」
小十郎の一瞬の判断の後繰り出された言葉よりも早かったのは、政宗の手だった。
「わっ、もじゃもじゃ!」
彼女の手はなんと、小十郎の股間にあった。
しかも、竿の根元を、まるで握手でもするかのように握っている。
しかもけっこうな力で。
「重たい!」
などと至極楽しそうに感想を述べる、年頃の我が主に、眩暈がした。
ごっつん!
「痛っっっっ!」
小十郎のげんこつが、政宗のつむじに落ちた。
「政宗様、あなたももう17歳なのですからもう少し慎みを」
「Ah〜はいはいわかったわかった」
「だいたい先のあれはなんなのですか。」
「別に」
「何か理由がおありなのでしょう」
「だから別に」
あの後、政宗がひるんだ一瞬の隙に彼女を風呂場に放り込み、小十郎はなんとか風呂場から脱出した。
そして服を着、リビングのソファで盛大にうなだれた。
今更様々な困惑が小十郎を襲う。
(いや…異性の体に興味を持つのは…まぁ…自然の摂理ってヤツだが…)
あれではあまりにも直球すぎて、色々と心配になる。政宗をあんな行動に走らせた原因は何か。
まず、それを聞き出さないことには、どうにもならない。
そして話は先の問答に戻る。
「なんとなくであのような行動をしてしまうようではこの小十郎、政宗様の将来がひどく心配です。それ故今からきちんとお教えせねばならぬことがあります」
長くなりそうな説教のフラグを感じ取ったか、政宗はむすっとしたまま湯上がりの濡れた髪を弄っていた手を止めた。
「……から」
「?」
「オトコの体がどーなってんのか気になったからだよ!」
「な」
「だって、近くに居る男っつったら小十郎くらいだし…」
語尾は小さくもごもごとなり、政宗はふいとそっぽを向いた。
「………」
小十郎は眉間を押さえ、ため息をついた。
「だから見せろ!」
「ちょっと、政宗様!」
政宗は猫のように小十郎に飛び付いた。
後ろに傾いだ小十郎の膝に乗り上げ、また股間をわしづかんだ。
「Why?何でかたくならねーの?」
股間をむにむにと揉みながら、不思議そうにこちら見つめてくる政宗。
小十郎はいよいよ頭痛がしてきた。
「政"宗"様"!」
「ぎゃん!!!」
それから数時間、小十郎の説教と教育は続いた。
おしまい
20110808
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