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滅多に会えない愛娘グレタとの時間はかけがえなく貴重だ。グレタもそう思ってもらえるらしく、こけ2〜3日「お父様〜お父様」と振り回される日々が続いている。

久しぶりの再会にギュンターも流石に遠慮したのか、仕事が回ってこないため、親子水入らずだ。


「グレタはねぇ〜ユーリが一番大好きだよv」


グレタがおれの腰辺りを抱きついて頬擦りしてくる。あまりの感動に目頭がジーンとしてくる。あと何年こう言ってもらえるだろう。数年もすれば立派に成長して、考えたくは無いが…かかか彼氏なんて作っちゃうかもしれない。



「お父様なんて、嫌い〜」



…とか言われたらどう立ち直ればいいのだろう。そんな日が来ても耐えられるために今のうちにグレタとラブラブライフを満喫するのだ。


そう決意したおれはグレタの目線までしゃがみこむ。するとおれの脳内ではグレタがキャピキャピ笑いながら、おれの首根っこに抱きついてくる予定だった。



なのに、現実は…いつ背後にいたかは知らないが、ぷるぷると拳を振るわせてヴォルフラムが立っていた。


「どしたの?ヴォルフ」


声をかけると怒りが臨海点を突破したのか、頬が紅潮している。


「この浮気ものーーー!!!」


まさかこのシーンまで突っ込みが入るとは思わず慌てて繕う。


「えと、グレタはおれの娘だぞ。浮気じゃないだろ、浮気じゃ」


というかヴォルフに言い訳する間柄でもない。


「ぼくの兄だけでは飽きたらず、我が娘にまで手を出すそんな不埒者だったとは…」

「ちょちょちょっとヴォルフラム?」


ビュンビュンと室内の置物がおれに向かって飛んでくる。このシチュエーションだと、本当におれが浮気亭主のような気がしてくる。

誰かこの勘違い元プリ殿下を止めてくれーー!?


「あれ、なんだか楽しそうですね。どうしたんですか?」


おれが動揺していると呑気そうな声でコンラッドが入ってきた。


「あっコンラッド〜あのねぇユーリがグレタに一番好きって言ったらヴォルフが怒っちゃったの」

「そうなんですか、グレタが一番ですか…ユーリが昨日俺のことを好きだって言ったのは嘘だったんですね」


コンラッドはわざとらしく悲しそうに首を横にふる。



同時にヴォルフとおれの「何ぃ!!!」という声が重なる。ヴォルフはあまりの寝耳に水に口をパクパクしている。


「実はユーリとコンラッドってセミニョールとセミニョリータの関係だったの?ピッカリくんが言ってたきんだんの関係?」

「ても、ユーリにとっては俺は遊びだったみたいです…」

「可哀想コンラッド…」

「ちちち違っーーう。何をふざけているんだよコンラッド」

「遊びじゃないということは本気かーー!!」


やっと復活したのかヴォルフの鋭い突っ込みが走る。自分の発言で自爆したことに気付いた。


「だっだいたいさぁ、コンラッドに昨日好きだなんて言ってないし。うん」


なんとか話をそらそうと必死だった。本妻と愛人に詰め寄られている錯覚に陥る。



「確かに昨日ユーリは言ってましたよ」


「だから、言ってないって!いつ、どこで言ったんだよ」








「昨日俺のベッドで」



ヴォルフは石像のように固まった。ベッドの中での睦言までは覚えてないよ…。




言ったかもしれないけど…





このコンラッドの素直すぎる発言で、この後、壮絶な修羅場になってしまったことだけ追記しておこう。


End






あきゅろす。
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