【別れ道】
行かないで…ギュッとシマロンの軍服の袖を掴んだ。
もう少し、
もう少しだけ側にいたいから。
見つめあって、袖を引っ張るとグッと引き寄せられた。
そこからは時間がスローモーション。
セピア色に染まっていく大切な瞬間。
コンラッドの胸に顔を寄せたら、面白いぐらい早い鼓動が高鳴っている。
なんだか笑ってしまった。
おれとおんなじだ。
首に手を回して目を瞑れば、触れるだけの優しい口付けを。
時計は左回りでも時間を戻せない。
でもこの瞬間だけはあの時のまま。
一番幸せだった時間のまま。
温もりに名残を惜しむ間もなく離れていく二人。
指先がかすり、背を向けた。
お互い違う道を歩いていく。
いつか道が交わることがあれば、
道が交わることがあれば……
END
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