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【セメント】



気付いたのは焦がれる程のあんたへの気持ち。


否定しても


『好きじゃない』


って何度呟いても、逆効果だ。顔が熱くなり、ベッドに突っ伏せる。

こんなん反則だ。側にいたときは気付かなかったのに、離れてからあんたが敵に回ってから気付くなんて不毛すぎる。

リスクが伴う危険な恋。

糸と糸がピンと張りつめて切れそうだよ。


『嫌い』


だと言えたら、どんなに楽か。


おれの隣にいるのはウェラー卿コンラート。

何でも解り合えた保護者兼ボディガード兼親友だった人。


今は大シマロンの使者で考えが読めなくて、おれの気持ちを振り回す人。



優しくしないで、


必要以上に近付くな。


これ以上掻き混ぜないでよ。


再会してから更に膨れ上がる想い。


知らなかった横顔にさえ惹かれてしまうなんて。


顔が熱い、


耳が赤い、


鼓動が高鳴る。


本当にあんたはズルイよ。


優しくしないで、


必要以上に近付くな。


これ以上掻き混ぜないでよ。


好きなんだ。



もうどんなあんたでも許せるくらいに


END





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