毎日がスピーカーから流れていく雑音のようにただなんとなく流れていく。
希望もなけりゃ夢もない。
だってダメツナだったからね。
楽しくないけど、楽だった。
『ダメツナ』は何も期待されないし、失敗しても溜め息をつかれるだけ。
諦めるのには慣れた。
望んでも手に入らないことを知った。
あがいても誰も差しのべてはくれない救いの手。
諦めることは自分を守っていたのかもしれない。
傷付きたくはないもん。
でもね、おとぎばなしの主人公みたいにある日突然君が現れたんだ。
タバコをくわえて、アクセサリージャラジャラで目つきも悪くて、まるっきり不良ルックだったけど、初めて出来た友だちだもの。
初めて認めてくれた人だもの。嫌いになれるわけないじゃん。…まあ、たまにとても迷惑だと思うことはあるにしても、とにかく君はオレのはじめての友だちなんだ。
今日もツナにとっては平穏な日常だった。朝からランボが10年バズーカの誤射でランボとイーピンが大人になったり、ビアンキがポイズンクッキングでリボーンに迫ったりしていたが、オレにとっては日常とくくってしまえるくらい、慣れたものになっていた。
そして玄関の呼び鈴を2回ならすのが、彼の来た合図。
時計を見れば7時50分ジャスト。
「ツー君、獄寺くんが迎えにきたわよ〜」
「あ〜今、行くよ」
ガチャリと玄関を開ければ、嬉しそうな獄寺の緩みきった笑顔。
だまっていればの獄寺くん。
「おはようございます、十代目!!ご気分はいかがっすか!」
鼻の頭なんか真っ赤なんだ、この人は…。オレは呆れた顔をして獄寺隼人という人間を見つめた。
前なんかは朝、5時には迎えに来ていた。もちろん睡眠時間は大切にしたい派のオレにはまだ夢の中の時間である。
一度きつく獄寺くんを叱ったら、流石に学習したのか、5時には来なくなったが、この様子を見ると、家のまわりを身辺警護と称してうろうろしているのだろう。
初めての友達(?)でなければ、ストーカーとして警察に突き出しているところだ。だって獄寺くんに常識なんかは通じない。
それもそのはず城育ちのボッチャンなんだよ、この人は。近所の駄菓子屋でプラチナカードを出しちゃうんだよ?
びっくりだよ、驚いたよ獄寺くん。
「どうしました?何か俺の顔に何かついてますか?」
「ううん、なんでもないよ」
「まさかまたあの牛ガキが粗そうを!?一回果たしときましょうか!」
途端に目つきが鋭くなり、ダイナマイトを取り出す。
「わわっ〜獄寺くん!ただ昨日ゲームのやりすぎで寝不足なだけだから!いいから早く学校へ行こう?」
思わず獄寺くんのシャツの袖を掴み歩き出す。殺気を纏っていた獄寺くんの表情がパアッと歓喜の表情に早変わり。
とってもわかりやすいよ、君って人は。やれやれと溜め息をひとつ。お日様だって飽きれ顔だ。
でも知ってるんだ、この日常もこの彼もまんざらじゃないってことを。
End
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