[携帯モード] [URL送信]




 ぼくのバッテリーが少しになっていくにつれ
 思い出していく過去。
 ぼくを作ってくれた人の名前はセトだ。

 そうだ。彼はぼくをなんのために作ったんだ。

 考えてみればすぐ分かることだった。

 

 オリジナル(セト)のいない世界で
 オリジナル(セト)として生きて欲しかったのか。

 オリジナルは・・貴方しかいないのに。

 いま、記憶のロックがすべて外れた。

 もうバッテリーも切れかけなのだろう。



 頭の中から響いてくるぼくと同じ声。

 これがセトの声。



 クロウへ伝えてと訴えてくる。

 彼の望みを聞き入れることが
 彼への感謝へと繋がるのならば。

 

 


 












 クロウとぼくと木々とお墓。この場に存在するものたち。



 ぼくはバッテリーの少なさからその場に座り込んだ。



 クロウが驚いた顔をして近づいてくる。




 「クロウ・・ごめん。ぼくも機械なんだ・・」

 クロウは知らなかったのかひどく困惑している。

 「ぼくはね・・きっと・・そうだな・・君の知る・・
 きみのイットウサイショの友達のセトに作られた機械だよ・・」


 すべてセトから教えられた知識。

 「ぼくのなかには・・セトから・・・クロウへの伝言が・・ある・・よ・・」



 「いま・・つた・・える・・ね・・?」


 クロウは座り込み「あぁ・・あぁ・・」とぼくの手を握る。

 「録音を再生します。」

 機械音声がそういった後にザザッ・・と音が走った後セトと思われる声が聞こえてくる。



 「お久しぶり ザザッ クロウ 

 ザザザザザッ 生き返らせてしまってごめん ザザ ね。

 どう ザザッ ても・・・クロウに伝えたかった ザザッ 

 ある ザザッ だ。

 もうすぐ録音時間が切れてしまうから ザザッ 
 すこし ザッ 早口で ザザザッ るよ


 ぼくは君のことが大好きだった ザザッ 

 ありが ザザッーーーーーーーー

 クロウは俯いて震えている。涙はでていないみたいだ。

 機械・・だから。


 「録音機能を終了します。」

 機械音声の声がはいったあと通常モードになりぼくに意識がもどる。


 「クロ・・う・・・・ぼくももうすぐ機能停止するよ・・
 できたら・・最後まで手・・握ってくれると嬉しいなぁ・・・」


 「セト・・あんましゃべれなくてごめんな・・」

 クロウはぼくの隣に腰掛け手を握り合う。


 「ここで二人とも機能停止するかぁー」

 「機能・・停止・・じゃない・・よ・・死ぬ・・んだよ・・」


 ぼくはいま機械の目をしているのだろう。
 でも口元は微笑んでいるだろうか。
 
 「クロウ・・ありがと・・う・・・」


 「セト・・ありがとな・・」



 ガシャン









 


 私はひとりの孤独に耐えられず
 もうひとりの私を作り、
 もうひとりの私が寂しくないように

 子供のころみたままのP・Fを見よう見まねでつくった。

 もうひとりの私は幸せに死んだのだろうか。

 それとも・・私の友達と、手を繋ぎまだ
 この空の下旅をしているのだろうか・・・。


 





 セト

( ありがとう!そしてさようなら!! 


あきゅろす。
[グループ][ナビ]
[HPリング]
[管理]

無料HPエムペ!