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二つの携帯からぶら下がる、可愛いマスコットのストラップ。
付けている男達を見れば、真っ先に似合わないぞと笑われるだろう、小さなそれ。

何だって、いつの間にこんな物が。
そんな事を言いたそうな表情で、鉢屋は携帯を手に取った。



「…何、これ」
「…ん?可愛いだろ?」
「……まぁ…」


やはり、思った通りの反応だ。竹谷は、そんな一瞬の反応すら見逃さないで小さく笑った。
彼が、実は可愛い物を好むと言う事も、当然竹谷ならば知っている。そう、全て知っている。鉢屋の事ならば。
以前にゲーセンで取った、リビングのソファーにちょこんと存在する可愛らしいぬいぐるみが、実は凄くお気に入りだと言う事も。



「……タコ…?」
「そうそう、で、こっちが、…焼き?」
「……何だ、そりゃ」


確かに、おかしな図だ。
鉢屋の携帯には、赤いタコ。そして、焼きだと言い張る竹谷のそれには、確かに、タコ焼きなのだろう丸いマスコット。ご丁寧に、目や口もある。

しかし、何故、別々になっているのかはわからない。それだったら、お互いが同じたこ焼きのストラップを付ければいいだけの事なのに…。

と、鉢屋はその赤いタコを指で弄りながら思う。心中では、別にお揃いがいいとかそういう訳じゃなくて!と、必死で言い訳をしている。
だが、これも可愛いから、とりあえずはそのままにしておく。シンプルな携帯から、それだけがぶら下がっていると言う図も、何だかおかしな気はするのだが。




「まぁまぁ、見てろよ」
「……何」
「…これ、すげぇ面白いから」

手を伸ばされ、されるがままに自分の携帯を差し出しすと、竹谷が楽しそうに笑っていた。それも、悪戯に成功した時のような笑顔だ。
鉢屋は、若干嫌な予感を感じながらも、首を傾げた。


そして、何をするのだろうと観察をしていたが、やがて、その顔は真っ赤に染まりあがる事となる。
そう、今まさにそんな状態なのだ。



「…な?こいつら、ちゅーするんだぜ」
「…なっ…ちゅ…っ」
「これ、バイト先の先輩が大阪土産にって買ってきてくれてさー。彼女とでも付けとけって言われたからさ」
「……かっ…彼女!?」
「そうそう。で、俺にとっての彼女はお前だろ?だから、付けといた」


今の状態を簡単に説明をすると、お互いのマスコットが、見事に唇でがっちりとくっ付いているのだ。
どうやら、その部分に磁石が埋め込まれているのだろう。離しても、近づけると、吸い寄せられるようにまたくっ付く。

まぁ、確かに、恋人同士がターゲットの商品ならば、ある意味うけは良さそうでもある。


「…ほら、はは!可愛いよなこれ!」
「………」
「…三郎?」
「……す」
「…あ?」



「…っ、はずすーーー!!!」




真っ赤な顔で叫ぶ鉢屋を、この後竹谷が必死で止めようとした事等、言うまでもない。


鉢屋は、それが嫌な訳ではない。ただ、こんな恥ずかしい事に、耐えられないだけの事だ。


しかし、結局甘い彼の携帯には、いつまでもその赤いタコがぶらさがっていた。







「……、ちゅ…何つって。………恥ず…っ」


竹谷の居ない所で、可愛らしい単語を口にして遊んでいた事を…
目撃されていたとも、彼は知らずに。








≫実際に売ってるストラップです^^友達の携帯にもこれがぶら下がってます(笑)超可愛いんです!








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