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「…あっ、八、そこ違う」

唸るように頭を働かせながら問題を解いていると、隣から、細く白い指がそこを指した。
竹谷はすぐさま眉を寄せて、指摘された問題をじっと見つめた。


「…う〜…」
「…ここの…、途中が間違ってる」
「…まじかよぉ」

頭を抱えて何度もそこを読み直す。
竹谷は、頭が悪い訳ではない。至って普通のレベルだ。
ただ、隣にいる彼女…そう、久々知が良すぎるだけなのだ。


「……ッだぁぁ解らねぇ!!」
「…教えよっか?」

しかし、彼女が優秀なお陰で勉強はいつも一緒にする事ができる。先生や塾、家庭教師なんかよりもよっぽど気合いが入るってものだ。教え方も、本当に上手い。



「…ああ、じゃあ、頼…む……ッ」


但しそこには、一つ行き詰まる問題もあったりするのだ。
竹谷は、久々知の方へ振り向きそして固まった。

まぁ…、お約束ではあるのだが。


「…八?」
「…〜ッ」

こちらを、不思議そうに首を傾げて見つめてくる様はそれだけでも最大級に可愛らしいと言うのに…

今、久々知は竹谷のセーターをたった一枚と言う格好だったりするのだ。


と言うのも、昨日から泊まりに来ているのだが、昨晩も当然夜の行為に及んだ。何度も抱き合い何度も口付けを交わして、意識が飛びそうになるまで果て続けた。
しかしそのせいで汚れた服は、今洗濯中なのだ。

これも、毎度の事ではあった。
基本的にはもう久々知は自分の服は用意していかない。次の日は大抵、竹谷の服を借りて過ごす。
竹谷としても、何も問題はないし寧ろその姿を見る度に幸せすら感じた。



だが…、同時に、こんな瞬間はどうだろう。
首を傾げて覗き込んでくる久々知の胸元が、彼の大きなセーターとの隙間から見えてしまう場合など…。

先日竹谷が選んでやった愛らしい下着を付けてはいるものの、最近少しだけ成長した胸からは十分に女の色気を感じる。
勿論、今までだって十分な色気を纏っていたのだから、余計にやばいのだ。
同じ年頃ではあるが、やはり女の子と言うのは驚く程に変わっていくのだと、竹谷は久々知を見ていてつくづく思った。



「……八ってば!」
「…へっ…?…あっ、ああ、悪い」
「…どうかした?…疲れた?」
「…いや…」

ここは、本来ならば勉強を続行するのが当然だ。彼女が優秀な分、竹谷も頑張らないといけない。

しかし…、思春期と言う立場にも、やはりかなわなかった。


「…やっぱり、ちょっと休憩していいか?」
「…ん、いいよ」

そう言って、優しく笑うその笑顔もたまらない。
もう、彼女の全てがたまらなく、愛おしい。


ソッと、久々知の細い腕を掴む。


「…?」
「…ぎゅって、していい?」
「…うん」

ほわん‥と赤くなった頬がまた何とも可愛らしくて、竹谷は自分の腕の中に久々知を抱き寄せた。

細くて、白くて小さくて…

もう、言葉にはできない程の愛おしい気持ちが湧き上がってきた。

そして、自然とその気持ちは行動に出てしまう。


「…やっ、ぁ…」
「…ん」

首筋に唇を押し付けて、跡を残す。ちゅっ、ちゅっ、とそれを繰り返ししていれば、甘い声が小さく漏れ始めた。
幾度してきた事でも、久々知は初めてのように震えて感じるのだ。それがまた、どうしようもなく愛おしさを生む。


「…ぁ、だめ…っ」
「…何で?」
「…だっ…て、勉強どころじゃ…なくなっちゃう…」

最もな言葉だった。
これ以上の行為は、即ち勉強を放棄する事なのだから。

しかし…、抵抗なんて、彼女もしてはいなかった。


竹谷は、小さく笑って久々知の耳元にソッと囁いた。


「…でもさ、もう我慢できなくなった」
「…ぁ…っ」

そして、セーターの中に手をゆっくりと入れて…、それが、合図だ。
少し潤んだ大きな瞳が、間近でこちらを見上げてくる。そして、小さく口付けを交わして…、もう、彼女も欲に満たされた表情に変わっていっている。


そう、彼女の事ならば、もう自分は全て知っているのだから…。

感じるところも、全部
とろけるような表情も、甘い声も…

その全てを



そう、自分だけが、知っているのだ…。


これが、自分にとっての最大の幸福だろう。




「…もうっ、テスト悪くても…知らないからぁっ」
「ははっ、それは困るな」


そしてこうなる度に泣く思いをする事も…、彼にはきっと、幸福にしか過ぎないのだ…。





≫相変わらず平凡なお話ですみませ…っ!
久々知が隣にいたら、勉強どころではありませんね(*'Д`*)






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