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呼ばれた声に目を開けると、そこには、愛する恋人がいっぱいに写った。綺麗な黒く長い髪が、首や手に触れて何とも擽ったい。が、それがまた心地いい。
思わず指でその髪を優しく解きながら、竹谷は小さく笑いかけた。

そして、彼の背に腕を回して自分の身体の上へと招いた。自分よりも小さな久々知の身体は、されるがままに竹谷に倒れ込む。


「……ん?」

だが、瞬間感じた違和感に、竹谷は再びウトウトしかけていた目をパッチリと開けて久々知を見た。そして彼は、すぐに気付いた違和感の正体に数回目を擦った。


え…、何で、兵助に

胸が…あるんだ……?



ガバッと身体を起こし、同時に起こされた久々知はびっくりして竹谷を見る。
だが竹谷は、今は驚く久々知に構ってはいられない。

ジーッと久々知の胸元を凝視し、そして彼は更に、驚かされた。
女と同じ柔らかそうな膨らみと、そして、あるはずのモノも…なかったのだ。
触らなくても、太股に跨られれば解る。いくら小さかろうが、あるのかないのかぐらい。



「…へ、兵…助」
「ん?」
「…ど、どうしたんだよ……その、身体」
「…身体?」

キョト‥として首を傾げる姿が、また何とも可愛すぎる。よく見ると、いつもより身長も小さくなっているようだった。本当に、可憐な少女そのものだ。



「…何、言ってんの?…この身体全部、八の…、だよ?」
「……へぁ?」
「…この、胸も……、ココ、も…///」
「あわわわっ…///!ちょっ、兵っ…そうじゃなくてっ…」
「…ね、…触りたく…ないの?」

そう言って、あろう事か久々知はゆっくりと服を脱ぎ始めたのだ。竹谷は、内心かなり焦っていたが、少しずつ開かれていくその光景にゴクリと喉を鳴らしながら止められずにいた。

そして、前掛けの紐がスル‥と解かれ、恥ずかしそうに顔を赤くさせた久々知はそれを隠そうとはせず、露わにさせた。
小さく揺れた二つの膨らみは、確かに女のものだ。桜色の美味しそうな突起が、こちらへ誘惑するように主張していた。

瞬間、竹谷は真っ赤にさせた顔をバッと背ける。
これが、見知らぬ女の裸ならば、何の反応も見せない所だろう。興味もないのだから。

だが、これは別だ。
今目の前に居るのは、他でもない、久々知なのだ。竹谷がこの世の誰よりも愛する、久々知なのだ。


そう思った瞬間、あり得る筈のない身体を見た竹谷は一気に全身が熱くなるのを感じた。
久々知の身体である筈がないのに…、恥ずかしそうに、露わな姿でこちらを見る彼はやっぱりいつもの久々知であって…。



「…八?」
「…っ…」
「……ね、触ってよ…」
「……え…、わああっ‥ぷ///」

むにゅ‥と顔に感じた感触に竹谷は今度こそ本気で焦った。柔らかな胸に顔を埋めるなんて経験、当然初めてな訳であって、熱で頭が破裂しそうな勢いだ。


柔らかい…
それに、すっげぇいい匂いだ

気持ち…よすぎる



鼻血が、タラ‥と垂れた瞬間


竹谷は、覚悟を決めた。否、と言うよりは、勢いだ。



「…ひゃっ…」
「〜〜ッ」
「……ふ、そんな焦んなくても、逃げないよ」

真っ赤な顔で押し倒した拍子に、ぷるん‥と揺れた柔らかな胸が思いっきり目に写って更に真っ赤になる。
鼻血まで垂らして…何とも情けないことこの上ない。


しかし、もう仕方ないのだ。だって、何度も言うが、相手は自分が愛する者なのだから。



「…い、いただきます」
「…ん、優しく食べて…ね?」
「ーーッ///」



兵助ええええ…!!!



そして竹谷は、欲望丸出しで再びその胸に顔を埋めた。


あぁ…柔らかい

あぁ…






「…八!」






…ん?




「…八ってば!」




…あ、あれ?


目の前が……暗く……





「…こら、八ってば!」




…あ、ヤバい、寝るー…
兵助が……呼んで…る……のに






「八っ!起きろ!!」
「…ッ!!」

ペチッと頬を叩かれた衝撃と声に、竹谷は勢い良く起き上がる。

暫くの沈黙が、その場を流れた。


すると、呆然とした竹谷に、久々知は不思議そうな顔で覗き込む。


「…八?」
「…うわああっ…兵助!」
「……何、その反応」
「…あっ、いや…」

目の前には、至って普通の久々知が不機嫌そうな表情でこちらを見ていた。
まるで、さっきまでの事は無かった事のように。

再び、固まる竹谷。




……え、…もしか……しなくても、さっきのって……夢?



「もうっ、こんな時間から寝て!」
「…あっ、あぁ、悪い」
「ずっと起こしてたのに…」

ブツブツと文句を続ける久々知の声は聞き流し、竹谷は夢なのか現実なのかハッキリしない頭を叩き起こす。


そして、徐に、真剣な顔で竹谷は久々知の腕をとった。


「……八?」
「……わりぃ、兵助」
「…へ?」




ムギュ‥



「…ひっ……やあああ!!」


バッチーーン!!



「いっ…てえぇ!!」
「このっ…エロハチ!!寝ぼけてんのか!!」
「何だよっ…ちょっと股間触っただけだろ!!」
「んな普通の事だろみたいに言うなあぁ!!」



あった。確かに。
小さいが、あるはずのモノはちゃんとあった。


どうやら、彼は、夢を見ていたようだ。


はは‥と力なく笑うが、しかし、やっぱりこっちの彼が本物だ。竹谷が愛する、本物の久々知だ。


ヒリヒリとする頬に愛を感じながら、竹谷はそう、思ったのだった。







―深夜―



「…っ、なぁ、兵助」
「…はっ、ん、何?」
「…お願いがあるんだけど」
「……?」

「一回でいいからさ、……孕んじゃうって、言って」


「……なッッ…こんの…っ!!変態ーー!!」


そして深夜の長屋に、盛大な平手打ちの音が響いたのを、五年生達は聞き逃しはしなかった…。






≫ゆめオチですた^^








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