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「…あれ、…文次郎?」

部屋の戸を開けると、同室である筈の人物の代わりに、そこにはいる筈のない文次郎が座っていた。
此処は、男子禁制だと言うのに…。
しかし食満は、目を丸くしつつもこうやって会えた事が嬉しい事には違いないので、小さく微笑んで座る文次郎にゆっくりと歩み寄った。

「何してんだよ…。見つかったら痛い目にあうっていうのに…」
「…ふ、そんなん恐れてお前に会うのを我慢できるかよ」
「…ばか」

そうしてその細い腕を引き寄せ、優しく、しかし強く食満を抱き締めた。すっぽりと腕の中に納まった食満は、恥ずかしさに頬を染めながら自らもぎゅ‥と抱きついた。

文次郎は男。そして、食満は女だ。授業も過ごす場所も全てが違うので、なかなか顔を合わせる事は難しい。しかし、恋仲である以上…それを我慢する事の方がもっと難しかった。

だから、今こうして会えた事が食満にとっても堪らなく嬉しい。
久しぶりの…文次郎の温もり、匂い。それだけで、胸がいっぱいになる。やっぱり自分は、この男が愛おしくて堪らないのだと…実感した。


「…あっ、そうだ」
「…どうした?」
「……えっと、汗…かいたから…、着替えるつもりだった」

実は今の今まで、任務で裏山の方へ行っていたのだ。長距離を歩いて来たので、流石に汗もかく。


「ふぅん、でも、お前すっげぇいい匂いすんな」
「…っや、ばか!かぐな!」

首筋に鼻を押し付けて、まるで犬のように匂いをかぐ。確かに汗をかいて少し湿った感触はするが、とても甘くて優しい香りが鼻を掠めた。

あぁ…いつものこいつの香りだ


「ん…もうっ…、とにかく!ちょっと着替えるから……部屋出てて」
「…なんで」
「……」

いや、普通、女が着替える時は気をつかってくれるべきだろう。

しかし、目の前の男はそんな素振りも見せようとはしなかった。


「いや…着替えるから」
「別にいてもいいだろ」

流石に、それは恥ずかしい。


「…何でそうなる…っひゃ!」
「今更、隠す仲じゃねぇだろ」

すると、そう言って文次郎はあろう事か、食満の服に手を入れて脱がせようとし出したのだ。

「やっ…ちょ…離せばかもんじ///!!」
「…くくっ、離すか…よっと」
「わあぁっ///!!」

そして、あっという間に上を前掛けだけの姿にさせられてしまった。

食満は、ぎゅ‥と自分を抱き締めるようにして身を隠す。

「このエロもんじ///!!」
「ばぁか、そんな顔して睨んだって…可愛いだけだぞ」
「…っ///」

いけしゃあしゃあとこの男は…。
楽しそうに笑う文次郎は、そう言って再び食満を抱き寄せた。

幾らくの一の中の有力な忍者と言っても、男である文次郎に力でかなう筈もない。あっさりと、されるがままになるしかない。

「いいだろ、…久しぶりなんだから」
「…でっ…でも…、あっ…」

そして耳元に囁かれたと同時に、文次郎の手はゆっくりと、首の後ろに結んである紐を解いた。
その瞬間にやめろと言える間もなく…、パサリ‥と前掛けは隠す役目を失った。

「やぁっ…見るなぁ///」
「隠すなって」

必死に前を隠そうとする腕を解き、文次郎は久しぶりの食満の露わなその姿に、思わず身体が熱くなる。

本人は以前から、自分の胸は小さいのだと言っていたが…
そうは思わない。

決して大きい訳ではなかったが、程良い大きさと、そしてとても綺麗な白い肌。
そう…、食満のその身体は、思わずうっとりとしてしまう程に美しかったのだ。

こんな美しい者を、自分だけが独占できるのだと思うと…堪らない喜びと幸せを感じてしまう。


「…綺麗だ」
「なっ…何言って…‥ひぁっ」

文次郎は我慢できず、ゆっくりと首筋から口づけを滑らせる。そして、少し強く吸うようにして口づけるとそこに小さな華が咲く。
本当はもっと、身体中に付けたいのだが…流石に食満が困るだろうと、そのまま下へと唇を移動させた。

「やっ…や…」
「…ん」
「はぅ…、ぁ…ん」

辿り着いた先の先端を優しく吸いあげれば、ビクン‥と細い身体が跳ね上がる。久しぶりに聴く甘い声は、それだけで文次郎の身体をどんどんと熱くさせた。

「ダ‥メ……これ‥以上はっ…あんっ‥」
「…わりぃ、止まらない」

止められる訳がない。
愛する者の、こんな姿を久しぶりに目にしておいて…。

今すぐにでも、全てを脱がせて目一杯愛したい。


「留…」

そして文次郎は、ゆっくりと食満の太股の間に手を入れた


「…っダメえぇぇ!!」
「ぐほぁっ…!」

筈なのだが…

突然の顔面ヒットが文次郎を襲い、その身体は吹っ飛ばされてしまった。

食満だって、力はあるのだ。油断していた文次郎は、鼻血を流したまま目を回す。


「…はぁ…はぁ」

「……っいてぇ〜…、いきなり何しやがる!」

しっかりと前を隠しながら睨む食満に、負けじと文次郎も睨む。

「こっ…ここじゃダメ!!」
「何でだよ!」
「もっ…もし同室の奴が帰ってきたらどうすんだよ!」


…確かに、もし帰ってきてこられたら…それは非常にまずい。只でさえ男子禁制のこの厳しい所で、増して食満と交わっている所等を見られでもしたら……


間違いなく、殺される。
くの一なら、やりかねない。


「…ぐっ」
「とっ…とにかく!今日は帰れ!……お願い」
「うっ…」

…そんな可愛い顔をされては…、仕方がない。

文次郎は、はぁ‥と溜め息を吐いて渋々ゆっくりと立ち上がった。

まぁ…、やっぱりこれも仕方のない事なのだ。我々は、忍者になろうとする身なのだから。


「…ちゃんと汗拭けよ、風邪ひくからな」
「…うん」

そして、それだけを言うと、文次郎は戸を静かに開けて外へ出ようとした。



しかし、次の瞬間…、



「…っ文次郎!」

食満の、自分を呼ぶ声に振り返ったと同時に…

柔らかい感触が、文次郎の唇に重なった。




それは、とっても甘い…

甘い


味がした…。





「…愛してる」


だから…、次に会う時まで…


待っていて






≫にょた留萌えるなあぁぁ(^q^)







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