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朝から野外訓練の授業と言われても、流石にまだ力が入らない。しかし、だからと言ってだらけていては、上級生としての示しもつかない。
今日は、最上級生である六年生もいるのだ。いつもよりの気合いが入る。

「…だが…」
「ん?どうした、文次郎」

「……こうもゾロゾロと居ては訓練にもならんな」
「……まぁな」
「………」

そう言って、先頭を歩く文次郎と仙蔵と長次は、ピタリと足を止めて後ろを振り返った。
すると、必然的に全員が足を止める。そして、また全員が不思議そうにこちらを見る。

何とも、緊張感のない図だ。


先頭を、六年生の文次郎と仙蔵と長次。そして最後尾を、食満と小平太と伊作。
そしてその間を、四年生の滝夜叉丸、綾部、三木ヱ門、タカ丸。五年生の久々知、竹谷、雷蔵、鉢屋。

総勢、14人が山道をまるでハイキングでもしているかのように歩いているのだ。

いつもなら単独行動での訓練が多いので、流石に六年生にも今回はあまり緊迫感がないようだ。
まぁ、こうして上級生が揃って授業を受けると言う事も少ないので、良しとしておこう。


「…どうしたんです?潮江先輩」
「…三木ヱ門…いや、何でもない」

「こら、綾部。余所見をしているな」
「…いい穴が掘れそう」
「……」


「……(ボソボソ)」
「…え?何か言いました?」
「ああ、滝夜叉丸、これはね…」

そしてお馴染み、雷蔵の通訳付きで、長次の言いたい事を聞き取る。




「…何だ、前の方はえらく賑やかだな」

すると、後方を歩く食満が呟いた。
全く、訓練だと言うのに…

そうして、食満は前の連中に声を掛けようとした。


だがしかし、それは呆気なく彼によって遮られてしまう。



「滝ちゃーーん!!何かあったら俺が守ってやるからなーーいけいけどんどーん!!」

「んなっ///!?」

…何が暴君の血を騒がせたのか、突然叫び出す小平太に滝夜叉丸は真っ赤だ。
食満は、はぁー…とため息を吐いて頭を抱えた。

「…留さん、大丈夫?」
「ああ…伊作…、いつもの事だ」

至ってまともである二人は、弱々しく笑い合って肩を取り合う。


「兵助く〜ん」
「んあ?」
「…僕、訓練ってまだ慣れてないから怖いな…。手、繋いでもいい?」
「…ああ、いいy「ちょっと待ったあああ」

お次は、こちら。

久々知とタカ丸の間に割って入る竹谷。久々知はキョトンとしているが、タカ丸は明らかに黒い顔になっている。


「……何か用?竹谷八左ヱ門くん」
「手を繋ぐなんて、絶対許さん」
「…別にいいじゃないちょっとぐらい」
「…ダメだ」

二人の間に、明らかに黒いオーラが漂っている。久々知は、状況を全く理解できていないようだ。

「じゃあ兵助、俺と手繋ごう」
「…三郎、うん、いいy「「待てええええ」」

この時ばかりは、竹谷とタカ丸の息もぴったりだったと言う。



委員会の先輩後輩同士がいつしか自分たちの委員についての会話をし出していたり、どさくさに紛れて小平太が滝夜叉丸に抱きついていたり、いつしか久々知争奪戦が始まっていたり…


「…伊作…」
「…何、留さん」

「…平和ボケ……してないか、俺たち」
「……うん、そうだね」

これはもう、端から見ればハイキングと同じだ。
食満と伊作は、止めに入る気にもなれずに隅の岩に腰を降ろして、ずっとその光景を眺めていた。



だが…


「…留三郎」
「…?何だよ、文次郎」

「…おっ俺も…、お前を守るから」
「…は?」
「おおっ俺も!何かあったら必ずお前を守るからな!!」

「………なっ…///!!もっ、もんじっ…こここんなところで…///!!」


いつから、告白大会になったのだろう…

無意識になのか、ハートを飛ばす文次郎と食満を見て、伊作はつくづく思った。


「留さん…、君も十分……色ボケしているよ」


そして静かに、涙を流す伊作だった…。






≫無理やり上級生オールキャラd(゚∀゚)







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