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たくさんたくさん、月日が経った。今は少し、落ち着いている。

かなしいけれど、前を向かなければならない。

いつまでも、彼を引きずっているわけにはいかないのだ。今の僕は。







最後なんてないと思ってた







空はあまりに蒼い。
見上げるのも、躊躇われるほど。

あの人がいるなら、なんて浅薄な考えが浮かんでは、
叱って打ち消しを繰り返す

もう居ない


ここには居ないのだから、同じこと






‘ 市丸ギンの下か ’




揺さぶられた。
彼の名前を出されただけで、酷く胸が締め付けられた。


いつまでも、僕のなかにこびりついた本能
染み付いた感情

癖が ぜんぶ

出されそうになった




苦しい 苦しい


忘れたかった
忘れようと、していたのに

掻き乱される 心が



感情も、想いも、今までも


鎮めているのは僕


けれど、た易く引き出されてしまう

他人に
分かったように、見透かされてしまう





‘ お前、棄てられたんだろう? ’



瞼を伏せる

浮かぶのはあの人


ゆるりと、指先を伸ばして、僕に触れる


ふわり、漂う香り
温度

指先の、冷たさ
すこし伸びた爪、ぴたり、



『イヅルが1番』



紡がれる




音も声も何もかも





『すき』





絡みとられる



ぜんぶ
ぜんぶ



思い出にしかならない
今はない


けれど
けれど、



『ずっと、いっしょな』




最後なんてないと思ってた
もしもあるなら、それはきっと、彼の手で。






空は変わらず蒼い


今までも
これからも


乗り越えなければならない壁ができた

彼を想うにも、必要な‘最後’が




信じつづけていると
知られてしまえば、終わるだろう

いつか引き出されてしまうかもしれない

抑え込んでいる感情も、起伏も

ぜんぶ



それでも終わらせるために、僕は、









'090621















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