窓から差し込む光にゆっくりと瞼を持ち上げる。
ばちり、と一つ瞬きをした。
上半身だけ起こし、欠伸を一つ漏らす。
ベットから抜け出して目一杯伸びをする。
窓から外を覗けば、まだ太陽が地平線から半分しか出ていない。
今日はいつにもまして早起きになってしまった。
「んー今日は何するかな」
もう一つ欠伸をして洗面所に向かう。
武器を持っていこうかとも考えたが、顔を洗いに行くだけなのだからすぐ戻るだろうと、武器どころか寝間着で裸足のまま部屋を後にした。
「…何をしている」
「おーキラー屋、おはよう」
部屋に帰ってみれば見たことのある顔がいた。
にっこりとこちらに手を振っているのは敵のはずのハートの海賊団の船長トラファルガー。
いや、まさか、ここ敵船だぞ。
「キラー屋の靴ってヒール高いよなーこけねぇの?」
「このマスク本当に見えるのー?横とか絶対向かなきゃ見えないよー」
「あ、これ切れ味いいな」
「…勝手に敵船に乗り込んできて一体何をしている」
人のブーツの高さを計ったり履いたりしているトラファルガーを筆頭に、仮面を覗き込んでいる白熊、武器をいじくっているサングラス、扉の横で無言のまま壁に寄り掛かっている防寒帽がいる。
なんなんだこいつら。
何しているんだこいつら。
「寝起きの悪い船長が今日はすっきり起きれたらしく、『目覚めがいいからキラー屋んとこで遊ぼー』というから護衛も兼ねてついてきた」
「…頼むから止めてくれ」
防寒帽は悪びれもなくさらりと言ってのけた。
船長は言い出したら聞く耳を持たなくなる、と溜息混じりに言われても、溜息をつきたいのはこっちだ。
まだ早朝だというのにどうしてこんなに賑わわなくてはならないんだ、何度もいうがここは敵船なんだぞ。
こいつらはそういう観点で物事を考えていないのか。
「そういやキラー屋の素顔って火傷してたんだな」
「瞳の色もブルーバイオレットで綺麗だと思いません?船長」
「髪も柔らかそうだよねージョーダマだねー」
「まるで人身売買の会話ですね、一部漢字変換出来てませんけど」
意味がわからないぞこいつら。
どこからつっこめばいいのかおれにはわからない。
読者も知りたがっているおれの素顔を「そういえば」で済ましたところか?
いや、まずこいつらがここにいることもちゃんと解決出来ていない。
それとも白熊が喋っているところから話をする必要があるのか?
訳がわからない。
出来ることなら今すぐキッドにバトンタッチしてやりたい。
どうせキッドは大口開けて寝てるだろうし、こいつらが帰ってまだ寝てたら口に椅子の脚突っ込んでやろう。
とりあえず、なんでおれなんだ
(え?好きだから?)
キラーさんをいじりたくて仕方がないハート民
この後キラーさん自身にちょっかいをかけ始める迷惑なハート民
キッドさんが椅子の脚の餌食になったのは言うまでもない
2010/05/09 過失修正
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