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にいさまは蝶の中にも居なかった。

それとも機械仕掛けなのがいけなかったのかも知れない。

分解されたブリキの翅をいじくってはみるものの
何だか無駄に毒々しい赤や緑や紫の模様に丸みの滑面に
自分の指先が映り込むだけなので厭きてしまった。

それにこんなに軽やかな(鉛の玩具だからそこそこ重いのだけれど)
明るく華美な(あまりにも安っぽい雑色はちかちかと網膜を疲れさせるのだけれど)
翅(飛べない鉄製)なんかに魂なんて重要な唯一が潜む筈もない。

耳障りな音を放ち上下する事はもうなくてただ部品,胴体なんて憐れなもので蝶としての意義を成せない。
パーツごとの小さな塊達をテーブルから落した。

右腕に退けられて白いクロス上からガシャリと鉄屑の音が響く。

「……あ〜あ"」

そのまま卓上に突っ伏して両腕に顔を埋める。
自分の体温が温かい。

(ころしたい)

にいさまはまだ見付けられない。




メメント リム

  (名の無い四肢)














べるちゃんはさがしてそう。



あきゅろす。
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