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総てを裏切られた気分と言うのは自身が味わわなければ解せない｡ 立ち直れるかどうか,戻れるかどうか,決して時間は巻き戻せやしない,そして倍速で進める筈もないので確かめようもない｡ 仮定形は実技に於いてのみ有効だから今はまだ考察の余地が無い｡ 戻れるかどうか,フレーズを反芻し唯一つの立ち位置を知る｡ 知っている｡ この中に在るのだからそれ以外解る必要もない｡ 総ては愚問だ｡ 霊魂の在処を尋ねられた時の倦怠感に丁度それは近い｡ 戻らなくとも此所に在る｡ 自分自身の場合｡ 理屈ではなく直感 何に裏切られたのか問えば ただひとつの応えだけが確かに予感していた解に符合するので 更に蹴りを食らう激痛よりも妙な納得による深い 深い安堵｡ ｢い"っ…,てぇ｣ ｢笑ってんじゃねーよ｡気持ち悪ぃ｡｣ マゾヒストが一番嫌いなんだ｡ そう言って冷ややかに見下す癖に未だ黒皮の爪先は白いシャツの上にある｡ 内臓を探る行為にも意味などきっと無い｡ ｢お前,よぉ……なんでも一番に嫌いなんじゃねぇ,かぁ｣ 口角を吊り上げるのと鉄臭い味が広がるのとはいつも同時だ｡ 死を感じさせるものは好ましい｡ (暫く…飯が食えなくなるなぁ) こうやって下から見上げる赤い光彩が存外嫌ではないと告げたなら腹部の圧力は増すのか退くのか, 本題から逸れる意識がおかしくてたまらない｡ 笑い出しそうになるのを,耐えて 血の味 笑みのまま吐き出す｡ ｢この ファザコンが｡｣ ゆったりと崩壊するものなど無い｡ 壊れるなら一瞬の内にだ｡ 自分は良い｡ 此所に居るのだから｡ 総てから裏切られた彼の気持ちを触り程も解せない｡ だからこそ どんな痛みにも耐えられた｡ 戻るか,どうかは,知らない｡ とうに 此処しかない｡ The Place That Is Not Lost, こうみせかけて 鮫→→→御曹司なんだな｡ マゾなんかじゃないからスクはすごいんだよ｡  |