俺が19の大学一年生で、姉が22歳のOLだった頃の話なんだけど。
2年前のクリスマスの日。その夜はカップルで満ち溢れてた。でも、工学部であんまり女と縁がなかった俺は、その日もレンタルビデオを借りに外出していた。
自転車で駅前を通ると、姉がおめかしして立っていた。
弟の目から見ても、すっごくきれいだった。
「あれ、姉(ねえ)、何してるの?待ち合わせ?」
俺は声をかけた。
姉は俺に気づくと、すごく悲しそうな顔をしたのが印象的だった。
「うん、待ち合わせなの。待ち合わせだったって言うのが正確かな」
「どうしたの?」
「かっこ悪いんだけどね、2時間もここで彼氏を待っていたの。でも来ないみたい」
俺はやばいことを聞いたと思って、ぎくっとした。
「ケイタイに電話してもつながらない。きょうはもう来ないわ」
「そ、そうなんだ。嫌なこと聞いちゃったね」
「ううん、いいのよ。こんな予感はしてたの。なんだかもう下り坂でさ」
「ふ〜ん」
俺は、腫れ物に触るように、最小限の受け答えしかできなかった。
「ねえ、○くん」
「なに?」
「きょうはヒマ?」
「うん、ヒマだけど。ビデオ借りに外出しただけだから」
「だったらさ、これから私とデートしない?せっかく予約取ったレストランをキ.....続きはこちら→
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