[携帯モード] [URL送信]




 音也が包装したリボンをゆっくり解くと、蓋を開けた。

 赤いハート型のチョコレートが顔を出す。

 その瞬間、音也は目を輝かせ、ハートチョコレートをまるで壊れ物を扱うようにつまんで眺めていた。



 「うわぁ……可愛い。きらきらしてるし、ハートの形がすごく綺麗」

 「でしょう?」

 「食べちゃうのが、勿体無くなっちゃうね」

 「だから、貴方に、と思ったんです」

 「……俺に?」



 聞き返し、目を見開いてぼんやりしているその頬に手を伸ばす。



 「ええ。貴方を見ていると、心臓が早鐘を打つので……私の心を贈ってみました」


 額を合わせると、視界が音也の肌で染まる。

 絡んだ視線が解けて、赤い双眸が伏せられたことで、全貌は見えなくても照れているのは手に取るようにわかった。

 睫毛が肌に掠めては、何かいいたげに口を開いて。

 えさを求める金魚のようにパクパクしていた。


 普段甘ったるい台詞を無自覚に言うくせに、音也は言われるのにめっぽう弱いのだ。


 紡ぐ言葉が思いつかないのか、ただただ喘ぐ唇を、私は塞いだ。



 「んっ……」


 小さく吐息が漏れるが、拒まれる気配がない。

 私はそのことに気を良くし、柔らかい表面をちろりと舌先で舐めた。

 途端に、音也がぴくっと肩を震わせて瞼を瞑る。


 いつもしている筈の口付けだったが、音也は私の暫しされるがままになっていた。

 唇の隙間から時々声にならない音が漏れる。

 その音色が扇情的で、むくむくと欲望が擡げる。

 肩肘をつき、シーツを背にして後頭部を撫でると、腹部へ上乗った。


 さらなる口付けを求めるように音也も腕を伸ばしてくる。


 「ときやぁ……」

 「何でしょうか」

 「あのね……ふぁ、ん」


 答えようと口を開いたところへ舌を滑り込ませ、歯茎の裏側を右から左に辿れば、綺麗に並んだ歯列にカチカチと舌先があたった。


 唾液を送ると、強い力で背中を抱き締められる。

 私との口付けに応えて音也からも舌を絡められたので、それを吸い、時には甘く噛み。

 だんだんと水音と互いの息遣いしか、聞こえなくなっていく。



 「……さわって、もう、ここ、いたい」


  
 恥ずかしそうにしながらも、下肢を摺り合わせて私の太腿に、熱を宛がってきた。

 パジャマのズボンを盛り上げた音也のソレは、服越しでもわかるほど堅く、染みている。


 音也の愛らしさに堪らず、髪を掻き撫で、首の角度を変えながら、口付けを深める。


 「あっ……ンン、はふ」


 「ふ……音也、可愛い」



 私は、手を衣服の下のほうへ滑り込ませ、腹部を撫でた。






あきゅろす。
[HPリング]

無料HPエムペ!