ぎしっと言う音で目が覚める。
「・・・・・?」
中学生にもなったのに、俺とリンは同じ部屋だ。
しかも、二段ベット。
育ち盛りの俺にとっては、ベットが狭くてしょうがない。
寝相が悪くて何度もリンが二段ベットから落ちるので、何時からか俺が上の段になった。
もう何年も使ってるせいか、寝がえりを打つたびぎしりと音をたてる。
「ねぇ・・・、レン寝ちゃってる・・・?」
少し涙声のリンの声が聞こえる。
少し気になったが、起きてるよと返事をする前にぽつり、ぽつりとリンが話し出した。
「レンはさ、いつか誰かの物になっちゃうんだよね。」
「それで、優しい言葉とか、ぎゅーって抱きしめたり、チューしたり・・・」
さらに声が涙声になっていく。
「そしたら、綺麗なお嫁さんとか貰って、レン似の可愛い子とか産まれたりして・・・」
「もうリンが入っていく隙間なんかないのかな・・・。」
涙声はいつしか小さな嗚咽となっていく。
「馬鹿だな」
ぎしりと大きくベットが鳴る。
下の段でうずくまって泣いているリンに俺はこう言った。
「俺は別に誰かのモンになるなんて考えてないよ」
「だいたい、お前のお世話で大変だっつーの!」
「何それ?リンちゃんが悪いっていうの?」
ぷーっと頬を膨らませる。
「ホラ、こんな不細工どうすんだ?俺がいなきゃだめだろ?」
「何ソレ!レンのくせにむかつく!ヘタレン!!」
おいおい、さっきまで俺が居なくなるって、泣いてたのはどこのどいつだ。
でも、さっきまでの涙顔は消えていた。
ほらな、やっぱりお前には俺が必要だろ?
「こんな寝相が悪い奴は、旦那のあてが居ないな」
そんな事を言いながらリンのベットへと入りこむ。
一人分のスペースに、二人はちょっときついけど。
「ホラ、早く寝ろよ。明日数学当たるんだろ」
「わ、忘れてた!もう嫌なこと思い出させないでよ」
「はいはい、オヤスミ」
そう言ってリンを優しく寝かす。
お腹にタオルケットをかけてやって。
どうせ、明日には変な方向に飛んでいそうだけど。
狭いベットに隣にはリン。
寝っ転がると、ぎしりと大きく幸せな音がした。
モドル