[携帯モード] [URL送信]



バサリと遠くから音がして、先輩は離れる

「いやぁ…誰かに見られたかな…?」

悪びれもなさそうな顔、
あたしは思いっきりひっぱたいてやった。




最低、最低!



口をゴシゴシと拭く。
すぐに鞄を取り、レンが居る部室へと走った。


レンが居れば泣かないですむ。
何時だって傍に居てくれるから。



急いで出たから、私は気づかなかった。

落ちていたプリントが譜面だったこと。
それがレンの物だって事も。







「…レンっ!!」

ノックもせずに、ドアを思いきり空ける。
息が切れた私を不思議そうにカイトが見た。



「レンなら、もう帰ったよ?」

「え…?」



何処かですれ違ったのだろうか。携帯を慌てて確認してみるが特に連絡はない。
電話をしてみたが、留守番電話に繋がってしまう。


「そうですか…ありがとうございます」

「気をつけて帰れよ」


カイトが頭を撫でてくれる。

きっと私が泣きそうな顔をしていたからだろう。

乱れたリボンを直し、お礼を言って部室を後にした。






レンが、いない。


校門前の桜並木、今は冬なので裸だ。ぽつぽつと歩く。


一人の帰り道、不安が襲う。

さっき起きた現状が今になって震えとなって涙が流れてきた。



「レン…」

か細い声で君の名前を呼ぶ。



隣がいない、帰り道は何だか寒く感じた。






モドル


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[グループ][ナビ]
[HPリング]
[管理]

無料HPエムペ!