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これは 俺の入学式での話



赤い悪魔 と呼ばれ恐れられていた 俺
初めて入る 広い校舎 で道に迷った

周りの人に聞こうとしたら そそくさ とみんな 逃げてしまった
どうやら もうこの高校に俺の噂は知られていたらしい


そんな俺に 物怖じすることなく 話しかけてきた ピンクのリボンをまるで桃のようにたらした女

「ねえ、あなた 迷子?」


あまりの直球過ぎる決めつけに 思わず否定をした


「いーえ、迷子ね
だってあんなに周りをキョロキョロ見渡すなんて迷子の証拠
それに あなた さっきまで不安な顔してた」


不安な顔 迷子だからではなく 周りが俺を避けて行く姿に 自然と気持ちがそうなっていた
高校に入っても また同じ日が始まるんだと ほんの少し弱まったからだ

そういえばこの女は どうして俺に話しかけることができたのだろう


「あなたが怖くないのかですって? どうしてよ 私は迷子のあなた に道を教えようとしてるだけよ」


善意と言うのは こういう物なのだろうか
それとも俺があまりに被害妄想にかられていただけなのだろうか


「髪、赤いわね」


初めて会った奴には必ず言われる この赤い髪
生まれつき つっても誰も信じない この髪色が 生きてくうえでは 邪魔だった

それなのに

「赤い髪って初めて見たけど 綺麗なのね」


それは 何十年間の人生の中で 一度も 聞いたことのない 言葉だった


浮かれているのか
とても気分が良かった

でも 少し恥ずかしかったので
どこに行けばいいのかは わからないが とりあえず階段を上った


「ちょっとー!
1年の教室は この廊下を曲がって すぐのところよ!」


足が ピタっ と止まった
あの女 俺が行きたい場所も知ってたのかよ


「それから 私、2年の百手矢射子よ
早くしないとチャイムが鳴るわ
急がないと遅刻よ」


軽く会釈を済ませて 俺は階段を降りた
きっと 明日になったら すぐ忘れる そんな出会いのはずだった

でも あの女に 出会ったおかげで
迷子でも 不安でも 無くなったのは確かだった



―――これが入学式での話


後に あの女が生徒会長だと知ったのは なんの運命なのだろうか。







■あとがき
ささいなこと たまたまなな偶然 ふわふわ気分 これは運命だyo!






あきゅろす。
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