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今日は月始めの全校朝会の日。
7月と言う猛暑の中、300近くの人間が詰め込まれた体育館は空気も薄くなっていた。

あいにく体は昔から健康だったので貧血や熱中症にもならなかった。
だが、しかし一つだけ弱った部分をこの暑さが刺激した。

たらっと鼻下を通るぬるい感覚に、慌てて手で拭った。
案の定、鼻から真っ赤な血が流れていた。


「先生、保健室行ってきます」


鼻血なんて慣れっこだけど、血まみれになりながら全校朝会にはいられないことはわかっていたので、体育館を出た。
すぐに治まると察し、保健室には行かずに 体育館に一番近いグラウンドで風にあたることにした。

ふと後ろを振り返ると、赤い悪魔が息を切らせてこっちへ走ってきた。


「なんでここに?」

止まらない鼻血に気をとられ、後を追われていることに全く気づかなかったらしい。

たとえそれが大好きな人だったに も関わらず。


「矢射子が、朝会の最中に鼻血出してどっか行くのが見えて心配で来てみたんだ」


彼は それだけの理由 で私を追いかけてくれたというのだ

今日が暑い夏で良かった。


鼻血が止むまで付きそう と言う彼の優しさに 期待をしてしまう。

鼻血が止んでも、
この優しさは変わらないのは もちろん知っていた。


暑い、夏の日
鼻血を出したのが私だから ここに彼がいるのだと信じて。






■あとがき
優しい阿久津が好きだけど、誰にでも優しいから怖くなるという。





あきゅろす。
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