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「さぁ、入ってください」

中にいる人物に促され、俺は漸く教室へと入った。バタンと大きな音をたててドアが閉まり、慌てて振り向いたものの廊下はもう見えなくなってしまっていた。

鍵は締まってないが、この四角い空間にこの男と二人になってしまい、絶賛後悔中だ。
いや、仕方ない。もうこうなるしか無いのだ。

「いつまでそうしてるんですか?キョン君」

「…黙れ」

ギュッと拳に力を入れ、目の前の人物を見上げた。全身を染めてしまうような赤が窓から射し込んでいる。白いカーテンが風に靡き、時折その赤がこの男を染める。

古泉一樹、美術教師だ。

整った顔立ちと柔らかな物腰、爽やかな笑顔に透き通った声、そして生徒にも敬語を使うという丁寧さは女子生徒の憧れの的で、男子生徒の格好の敵でもある。

そんな教師が、何故放課後にこの人も滅多に通らない最上階の一番奥の美術室に俺を呼び出したのか…

それは、こいつがとんでもない変態教師だからなのだ。



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