「こ、これは・・・!」

キラキラと輝く瞳、こうなったリフィルは誰にも止める事が出来ない。
分かっているが、分かっているが一言くらい言わせて欲しい。


「俺、こんなカッコ嫌だー!!」





タラコは生よりスパゲティ





複雑な心境で向かったイセリア牧場。
メンバーは回復と攻撃のバランスを考え、ロイド・ゼロス・リフィルそしてクラトスだ。

「言っとくけど、俺はアンタの事を信用したわけじゃないからな!」

「フ・・・ それでいい」

そんな会話をしてから数時間後、まさかこんな格好で戦闘する事になるなんて誰が予想しただろう。


エレベーターの裏の隠し通路。
おそらく数年単位で誰も通った事が無いのでは?と蜘蛛の巣を振り払いながら進んだ先にそれはあった。

「こ、これは・・・!」

リフィルが手に取ったのは、なんというか独特なデザインの衣装だった。
例えるなら真っ赤な寝袋・・・と言うべきだろうか。

「ロイド!」

「な、なんだよ?」

「着てみろ」

「ええー!!」

正直言ってカッコ悪い。
抵抗を試みるが、遺跡モードのリフィルに勝てる者がいるはずもなく・・・

「うぅ・・・ 俺、もうヤダ・・・」

たらこロイドの完成だ(ただし涙目)

「・・・しかし、これでは戦闘に参加出来ないだろう」

素なのか、それとも息子を救う為のフォローなのかクラトスが口を開く。
四人パーティの内、前線で戦うロイドが抜けてはこの先を切り抜けるのが厳しくなる。

「クラトス!いい所に気が付いたな!」

「?」

キラリ、とハサミを取り出すリフィル。

「最善の状態にするには、アイディアが必要だ」

そしてもう一着あった衣装(?)をシャキシャキと切り、
腕が出る部分を作り上げたリフィルが満面の笑みで命令する。

「さぁ!着てみろクラトス!!」

羽出して逃げようかな・・・と、クラトスが考えたかは定かではないが
じーっとクラトスを見つめるロイドの涙目が彼の足を止めた事だけは事実だ。

『俺だけこんなカッコ嫌だ!』








「・・・っ!!」

無言で爆笑するゼロス。
そんな彼を、人が殺せる視線で睨みつける親子。

「敵よ!」

遺跡モードから落ち着いたリフィルが前方を指差す。
現れたディザイアン達は、パーティの異形(というか親子)に釘付けだ。

「よーしいくぜ!!」

目撃者を片付ける+たまった鬱憤を吐き出す為ロイドが走り出す。
ただこのタラコ衣装。手が出る所は作ったが、足を出す所は作ってないので移動は飛び跳ねだ。

ぴょん、ぴょん・・・

「・・・っく!もう俺サマ笑い死ぬ・・・!!」

「―――ならば望みを叶えてやろう」

超高速詠唱のジャッジメントが降り注ぐ。
まばゆいまでに輝く光――じゃなくてタラコがゼロスを襲う。

「「「タラコ?!」」」

ピンク・オレンジ・赤…色とりどりのタラコを見ている内にサクサクとそれらがゼロスを刺す。
結構痛い。もしかしたらオリジナルジャッジより攻撃力が高いかもしれない(というか的中率が恐ろしいまでに100%)

「いってー!!」

「よし!いいぞクラトス!!俺はこっちを倒す!」

敵は身内にもいた。
タラコまみれになったゼロスを一瞥すらせず、ディザイアン相手に剣を構えるロイド。

秋沙雨!と技名を言おうとして・・・

タラコ沙雨!」

ロイドの口から出たのは、なんか違う技名だった。
しかも剣先からタラコが出ている・・・?

しゅびびびっ・・・!!

「ぐわっ!!」「ああー!!」

本来ならこのレベルの敵を一撃で倒せる技ではない秋沙雨でディザイアン達は次々に倒れていく。
長らく鍛錬を積んだ兵士達が、タラコで倒されていく様はロイドから見ても同情を誘う。

「え、あ・・・なんか、ゴメンな?」

謝られる事で、彼らがより惨めになる事をロイドは知らない。







♪ 〜 (流れる勝利テーマ曲)


「ほら、ロイド。早く決めセリフを言いなさい」※小声

「えっ!あ、そか・・・!」

考える事数瞬。

「スパゲティにもなれないヤツが俺に勝てるかよ!!」

「ぶはっ・・・!」

タラコまみれから復活したゼロスが、再び笑いの発作に襲われうずくまる。

「ち、違うんだ!なんかこの衣装着てたら勝手に口が・・・!」

「いい、わかったから・・・これ以上俺サマを っく・・・笑わせないでくれ」

「・・・・いっそお前も着てみるか」

「え」

「いい提案だ!丁度今の敵がもう一着落としていったぞ!」※再び遺跡モード

「ええーー?!」



タラコまみれのパーティ。

彼らがタラコ技で敵を瞬殺し、フォシテスの前に立つまであと一時間。
メンバーの元に帰り、驚かれるのがその三十分後。



そして、この衣装が一度着たら当分脱げない事を知るまで、あと六時間。













end


色々と重要なイベントをタラコ衣装で迎える運命の三人。
彼らに心から、頑張れ!と言いたい。







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