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有馬千晴
18歳
ごく普通の家庭の長女で
ごく普通の公立高校に通う
ごく普通の女子高生



の、はずだった――…








「千晴にも婚約者がいるのよ」






それは
初恋は実らない、と身を持って実感した日曜日

の次の月曜日の朝



昨日の政宗お兄ちゃんの結婚式の余韻を引きずったお母さんが朝食を摂るあたしに向かって放った一言だった



「………はい?」

「千晴ももうすぐお嫁に行っちゃうのね〜」



箸を止めたあたしの隣で弟の翔太が箸を落とした
どうやら当人のあたしより驚いたと見える



「いやいやいや…冗談はよしてよ、お母さん」

「あらー、お母さん本気よ?ねぇ、お父さん」



あたしの正面にどっしりと構えているお父さんは無言で頷いた




ちょっと待ってよ




「姉ちゃん、マジ嫁に行っちゃうの!?」




あたしよりも先に翔太が疑問をぶつけた



「どこに!?」



姉の心配、というよりかは好奇心によるものらしい
目がキラキラしている



「そんなことより翔太、千晴も、ゆっくりしてていいの!?」



お母さんの言葉に二人して時計に目を向けた

時刻は8時05分を指している



「やべぇ!!行ってきます!!」

「おかーさんごちそうさま!行ってきます!!」

「気を付けてねー!」



肝心な事は聞けないまま家を出ることになった
玄関を出て翔太の通学用自転車の後ろに乗り込む



「飛ばすぜ、姉ちゃん!」

「おう!」



清秀高校まであたしは電車通学
翔太は体力作りのために自転車通学
翔太はいつも駅まであたしを乗せてくれる





「じゃあまた後でな、姉ちゃん」

「うん、ありがとう」

「…電車ん中、気を付けろよ」

「ふふ、ありがとう。翔太もね」



電車通学を心配してくれる優しい弟の後ろ姿を見送ってすでに到着していた電車に急いで乗り込んだ



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あきゅろす。
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