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※古泉とキョンが機関の人間という設定です。





あまり昔の事は覚えちゃいないが、俺にも確かにあるんだ。

『神から与えられた力』というものが…。







普通の男子高校生というものは学校が終われば自分の時間が待ってるものだろ?残念ながら俺にはそんなものはない。

あるのは涼宮ハルヒという『神』のご機嫌をとって、ついでに俺と古泉が所属する機関のお偉いさんの機嫌もとらなきゃいけない現実離れした現実だ。

諦めも落胆も戸惑いもとうに捨てたさ。
代わりに手に入れたのは大量のスーツぐらいだろう。

お偉いさん方は身だしなみから煩いときたもんだ。毎度毎度クリーニングしたてのシャツとスーツを着てくる古泉は凄いと思うね。

まぁ、だから俺は『鍵』であり、『機関の人間』なわけだ。



そんなわけで今日は定期報告会に出席しなくてはならない。
もちろん古泉と一緒にというのが当たり前になっていて休日でもなんでも顔をあわせている現実に虚しくなったね。ここ1ヶ月古泉と会わない日は片手で数えるほどだなきっと…嬉しくねぇ…。

機関の長い廊下を肩を落とし溜め息をつきながら歩いていると隣で相変わらずな笑顔を見せていた古泉がふと声をかけてきた。


「どうしました?」

「いや、何でもない。」

気にするな。ちょっと自分の近況に嘆いてただけだ。


「そうですか。無理はしないで下さいね。」

「ああ。それより今日は何で呼ばれたかお前知ってるか?ここ最近は閉鎖空間もなかったと思うが。」


定期報告は特に異常がなければメールで済ませられる。余程のことがなければ基本、会議には出席しないでも大丈夫なはずだ。

なのに何故呼ばれたのか…皆目見当もつかない。


「もしかしたら僕達の関係がバレたのかもしれませんね。」

「そんなヘマをした覚えはないんだがな。」


俺達の関係…まぁ、言ってしまえば付き合っているということだ。
家族よりも長く一緒の時間を過ごすようになって、気付いたら互いの存在が大きくなっていた。

好きかと聞かれたら好きなんだとは思う。だがいたってドライな関係だったはずだ。
公衆の面前でイチャコラした覚はないし、俺は毎日会いたいとも思ってない。さっきも言ったが毎日毎日顔を合わせて虚しさを感じてるくらいなのだから。人間何事も程々が一番だと俺は思うね。したがってお偉いさんにバレる要素は古泉の部屋が盗聴されていない限り考えられない。


「あの人たちの情報網は異常ですから。どうしましょう?」

「どうもしねぇよ。ハルヒにバレたらそれこそ大問題だが仮に上の連中にバレても俺は開き直るね。」

「それ程僕のことを好いてくださっていたなんて感激ですね。」

「はっ…言ってろ。」


"酷いなぁ"なんて口からでまかせをいつものスマイル顔で洩らす古泉は放っておこう。コイツの相手はなかなか疲れるのだ。

ふんっとそっぽを向いて話を途中で終わらせる。
そろそろ会議室だ。ここで騒いでいたらそれこそ何を言われるか分かったもんじゃない。

気を引き締めてドアの前で立ち止まる。中に入ったらしばらくは出て来れないだろう。

やれやれ、肩が懲りそうだ。

俺と古泉は無言で互いの顔を見た。
なんとなく安心するのは古泉がつけている香水のせいだろう。そういうことにしておこう。

ウインクを飛ばしてくる古泉に一睨み利かせ、俺はゆっくりとドアに手を伸ばした。







結局会議に呼ばれたのは関係がバレたとかそんなもんじゃなく、最近ハルヒが平和な毎日に若干苛立ちを感じているから早急に何か対策を立てろ、との事だった。

まったく、とんだ勘違いだったよ。
バカなことを言った古泉に今回の件は任せようと考えながら俺は本日2度目の溜め息を盛大についたのだった。

これが最近起こった俺の日常である。


END


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何が書きたかったのか…それはスーツと香水と機関にいても変わらない二人の会話です(笑)

機関ネタはまた再チャレンジしたいです!!!



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