始めに断っとくが今日はエイプリルフールでもなんでもない普通の日だ。
だから今日、俺が仕出かす事は冗談でも何でもないことを頭に入れといてくれ。
一体何をするのかって?
そんなの後で嫌でも分かるさ。
今はまぁ、俺の行動を見守っていてくれれば幸いだ。
水曜日の昼休み。なんてことない普通の日である。
俺は授業が終わり昼休みが始まるや否やどこかに行こうとするハルヒを引き止めた。
「なぁ、今日の放課後ちょっと部室行くの遅れるかもしれん。」
「はぁ?あんた何普通に遅刻宣言してるのよ?いい、キョン!あんたはただの団員その1にすぎないのよ!?」
あぁ分かってるさ、そんなの十分な程に理解していて、それでもお前に頼んでるんだよ。
正面からハルヒに立ち向かってみても無駄なわけで、なにかいい理由でもないものかと考えながら黙っていても仕方がないと投げやりに口を開いてみる。
「ちょっと生徒会の偵察でもしてこようかと思ってな。いや、皆で行くより俺みたいな団員その1が行ったほうがバレなさそうだろ?」
なんという口から出た言い訳だろうか。
ちょっと無理があったかもしれないと少しばかり後悔しながらハルヒの顔色を伺うと、意外にも団長様は納得したみたいだった。
「へぇ〜、そんな事考えてたなんて意外だわ。でもそうね、いつまたあの会長がケンカをふっかけてくるか分からないものね…いいわ。今回は大目に見てあげる。だけど偵察後の報告は絶対しなさいよ!!!」
「あぁ、分かった。」
ひとまず第一関門のハルヒは突破できた。
次はハルヒに嘘までついて放課後に呼び出す奴の下駄箱まで行かなきゃならん。
俺は前の授業でノートをちぎって走り書きした紙切れを握り締めて目的地の下駄箱まで向かった。
呼び出されることはあっても呼び出すのは実は初めてだ。とか無駄に考えたらなんだか無性に恥ずかしくなってきたぞ。
そんな羞恥心を振り払うように目当ての下駄箱に紙切れを投げ入れダッシュで来た道を戻ったね。
好きな男を呼び出す女の子の気持ちが何となく分かった気がするが実際わからなくていい心情だよなコレ…。
次の時間、確かアイツは体育のはずだ。否応なしにアレを見付けるだろう…。
あぁああぁ、何だ!?今更ながらに後悔に襲われてるぞ俺!フロイト先生も爆笑どころか笑い死にする勢いだ。
まぁ、過ぎた事をとやかく言っても仕方がないわけで。
なんやかんやで時間は進み放課後である。
HRが終わったと同時に奴を呼び出した場所へ走った。
アイツの事だ、涼しい顔して俺を待っているに違いない。
急いで向かえば案の定奴は既に居て俺を待っていた。
「あの手紙はやはり貴方でしたか。宛名がなかったので誰かと思いましたよ。」
「お前の下駄箱に用がある野郎なんて俺以外にいそうにないがな。」
「まぁ確かにそうですが。でも突然"放課後、屋外テーブル前で話がある。"なんて貴方から呼び出しがあるとなるとやはり気にもなりますよ。こういう呼び出しは僕や朝比奈さん、長門さんがする事だと勝手ながら思っていたので。」
そうだろうよ。
俺だって出来るならこんな恥ずかしい事したくなかったさ。しかもハルヒに嘘ついてまでな。
何をしているんだろうな、なんて人事みたいに考えてみる。
こんな放課後に古泉を呼び出して。
まぁ、もう分かるとは思うがそのまさかの『告白』というやつだ。
いつから古泉の事が好きになったか、なんて正直覚えちゃいない。気付いたらなんか好きになっていたのだ。理由とか決定打なんて分からない。
しかし、よりにもよって古泉ときたもんだ。どうせ恋するなら朝比奈さんがよかったと今でも思う。
けれど仕方がない。好きになっちまったもんは今更変えられない事実として目の前に突きつけられている。
下手に悩むなら玉砕してしまおうと決めて今の状況に至るわけなのだが。
まぁ変な話、1%くらいは上手くいかないかなんて無謀にも考えていたりもする。前にハルヒも言っていたが世の中には100人のうち5人はガチらしいからな。
そんな俺の心境を古泉は知ってか知らずか始終ハンサムスマイルを崩すことなく俺が用件を言うのを待っていた。
「時間は取らせないさ。いいか、1回しか言わないから良く聞け。」
今から告白したらコイツはどんな顔をするんだろうな。
困った顔をするのだろうか?
それとも悩むのか?
まさか告られても始終笑顔じゃないだろうな?
無駄に早まる気持ちを落ち着かせるように深呼吸を1つして目の前にいる古泉の顔をしっかりと見た。
いいか、一世一代の告白なんだ。聞き逃したら死刑にしてやる。
「古泉、俺はお前が好きだ…って言ったらお前、どうする?」
END
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