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※古泉が病んでます。








僕にはやらなければいけない事がある。

僕には守らなければいけない未来がある。

けれど僕には、僕という個人の存在意義は、ない。



街には沢山の人が溢れている。僕はその中の一人にすぎない。機関でも、学校でもそれは変わらない。

涼宮ハルヒの中でも多分、似たような扱いなのだろう。それはそれで構わなかった。

僕は彼女に好かれたいわけではない。

僕が好かれたいと思うのは、彼だけだ。

神に好かれた普通の人間に過ぎない彼に僕も恋をした。

そして思うのだ。
少しでも彼に僕という人間を覚えてもらえたらそれでいいと。

そして願うのだ。
どうか彼の隣に少しでも長くいられるようにと。


馬鹿な事を考えていると神は嘲笑うのでしょうか。

貴方は、笑ってそんな願いでも、受け入れてくれますか?



いつにも増して頻繁に出現する閉鎖空間。それに毎日、不定期に出向いては鎮圧させなければいけない僕は正直疲弊していた。

世界などどうにでもなればいいと、神など知った事ではないと、苛立ちにも似た感情を抱いてしまう。

精神的にも肉体的にもボロボロになった僕は家で待っている彼を見るや否や思いきり抱き締めた。

彼は何も言わずに背中をさすってくれる。

温かい手が、とても心地好かった。


「僕は、何の為に生きているのかと最近、考えてしまうのです。」

何故僕はこんなにも自己を犠牲にしてまで戦わなければいけないのか。

何故、彼女を中心に生きなければいけないのか。

考えたくもない事を繰り返し、何度も答えが出ないままひたすらに考えてしまう。

こんな風に思う僕は、弱い人間なのでしょうか?


「俺は、何も出来ないけど…傍にいるから。弱音は全部、俺に吐いてしまえばいい。」


迷惑ではないのかと、言いかけて止めた。彼が泣きそうな顔で笑っていたからだ。

傷だらけの手で彼を必死に抱いた。独りじゃないんだと感じていられる事がたまらなく、今は嬉しい。


「名前を、呼んで下さい。」



「古泉…」



「…はい。」



「古泉っ」



「僕は…まだ、此処に居てもいいのだと、貴方に呼ばれる度に実感できるのです。」



だからどうか貴方は泣かないで下さい。

いつもみたいに顔が近いと眉間にシワを寄せて笑って下さい。




そっと唇に触れれば、彼の涙の味がして、どうしようもなく切なかった。



嗚呼、どうして僕たちはこんなにも、不幸なのでしょうね。



END


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病み古泉とそれを精一杯支えようとするキョン、みたいな感じで。

タイトルにも使った『Liar's smile』という曲は病み曲ではなく凄く切ない曲ですので機会があったら是非聴いてみて下さい。この話も聴きながら読むと1.5倍増で切なくなると、思われます(苦笑)


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