貴方のその僕に対する態度はわざとなのだろうか、と気が付けば頻繁に考えてしまう。
拒絶の隙間に見える僅かな優しさは一体何のためにあるのだろうか。
眉を潜めて嫌悪するのにふと柔らかな表情になるのはどうしてですか?
聞いてみたところで貴方は答えてはくれないでしょうね。だから僕は聞かないのです。
その代わりに分かりやすい愛情を精一杯捧げましょう。貴方が僕を見て、笑ってくれるだけで、僕は我慢が出来るから。
「どうです、今日は夢診断でもしてみませんか?」
「お前は…いちいち超至近距離まで顔を近付けないと話も出来ないのかっ!!!」
「すみません、貴方に対してどうにも距離を縮めたがる癖のようなものが出来てしまったようです。」
「…迷惑な癖だな。」
「ええ、本当に。」
心底呆れたように彼はため息をつきながら朝比奈さんが煎れてくれたお茶を飲んでいる。それを僕はいつもの笑みで見守った。
迷惑だと言うわりに、それでも、近付いた距離を離す事もしないで話す貴方を見ていると加減が分からなくなるのです。
僕は貴方にとってどこまで許される人間なのだろうと、気になっては悪戯に近付いては試した。まぁ、ハッキリとした結果など分かるはずもないのだけれど。
「夢だっけ?あー……この前見た夢はお前が出てきた。」
「僕…ですか?」
「そうだよ!それで、なんか…お前の事を…看病していた。」
「……………。」
「な、なんだよ!?そんなに変な夢なのか!?」
「あ、いえ…スミマセン。今調べます。」
まさか自分が彼の夢に現れているとは思わず驚きを隠せない。
そして本を開き夢の意味を調べてまた驚いてしまった。
「看病は…多くの愛情を求めているそうです。」
「お前に…か?」
「どうなんでしょ?」
「そう…か…。」
少しうつ向いて彼はそれだけ言うと鞄から雑誌を取り出して読みだした。僕はと言えばどう反応していいか分からず固まってしまう。
有り得ないと反論されると思った。
けれど実際はどうだ、彼はそうかの一言で肯定も反論もしないで話を終わらせてしまったのだ。
それはどういう意味が含まれているのですか?
言葉で、表情で教えて下さらないと、僕は深読みしてしまいます。
本当にそうなのですか?僕の愛情を欲していると?
有り得ないと自分自身にいい聞かせてはどうしようもない期待を消せないでいる。
「僕も…貴方の夢をよく見ます。」
そう呟けば聞こえたのか彼が雑誌から視線を僕に戻して「そうか」と小さく笑った。
嗚呼、やはり貴方には敵いません。
僕はまた、何かを確かめるように貴方との距離を縮めるでしょう。
それでもどうか、先程のように笑ってくれればいいと、思ってしまうのです。
END
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古泉の片想い話。だけどキョンも古泉が気になるという。
1日3回くらい顔を近付けていればいいなと思いました(笑)
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