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『天の川を見に行きませんか?』


そう古泉に言われたのが2日前。
何が悲しくて野郎2人で天の川を見に行かなくてはならんのか。俺には理解できない。いや、理解したくもないね。

"行かない"とキッパリ言えばよかったのに俺と来たら渋々了解していたのだ。今更ながらに後悔でいっぱいだよ。

何が悲しくて2日後の本日7月7日に古泉を駅前で30分前から待たなきゃならんのかね。

ちなみに"30分前からドキドキして早めに来ちゃったテヘッ"などという少女漫画的な事をしでかしたわけではないぞ!

俺が着いたのは待ち合わせ時間の10分前、18時50分だ。

そして待てども待てども誘った張本人が来ないというオチなのだが、あのいつでも待ち合わせ時間前には必ずいます的なキャラの古泉が一向に来ないのは少々の不安と1ミクロンの心配を覚える。

アイツの身に何かあったのだろうか?

それとも天の川を見ようという約束自体が冗談だったのか?

後者の場合はアイツを笑顔で東京湾にでも捨てるが…。

どうして俺がこんな思いをしなきゃならんのかと嫌気を感じつつバックに入れてあった携帯を取り出し古泉に電話しようとした俺の視界に突如あのハンサムフェイスが見えた。

古泉、タイミングよすぎだなおい…。


「スミマセンっ少々準備に手こずってました。」

「いや、別にかまわんが…準備してきた割にお前頭ボサボサだぞ…」


一体何をしていたんだコイツは…?あまり見れない古泉を見て俺はかなり面白かった。もう30分まったのなんかチャラに出来る面白さだね。


「いや、柄にもなくあなたとのデートに緊張してまして気付いたら寝てましてですね。」


デートとか恥ずかしいこと言うな!…と、いうかどうしてお前は緊張して寝過ごすのか…は聞かないでおいてやろう。古泉ミステリーだ。


「とりあえず行くんだろ?俺は場所なんか知らないからな。お前まで知らないとか言い出したら即行バックホームしてやる。」

「そのへんは大丈夫です。いい場所を見付けておいたのできっと絶景ですよ。」


期待しないでおくさ。

極上スマイルを浮かべてそう言う古泉は本日寝癖のため、ハンサム度が2割減していて、それが俺にはとても気分がよかった。

なぜかって?
何度でも言ってやる。
そりゃ面白いからさ。




それから20分ほど歩き、小高い丘のようなところに到着した。

まぁ、無事到着したのはいいとしよう。

ここから見た星はとても綺麗だった…とかそんな普通の結末があればよかったのに事もあろうに着いた途端、見計らったように降り出した雨に俺も古泉もしばらく呆然だったね。

無防備に雨に打たれつつ俺は冷えた頭で"そういえば今日の予報見忘れた"とか冷静に考えてみる。


「雨とは…予想外でした。」

だろうな。きっちり計画を立てて物事をこなすお前には珍しい失敗だと思うさ。

「まったくです。これじゃあ天の川どころじゃないですね。残念ですが風邪を引く前に帰りましょうか?」


切り替え早いなお前。


「そうだな。だがな、ここまで連れ出しといて早々解散はないだろ。雨宿りくらいさせろ。」

「…雨宿りですか?」


お前は…どうしてこうも肝心な時に鈍感なんだ。


「ああそうだ雨宿りだ。ここからならお前んちが近いだろ。タオル貸せ。」


ここでようやく気付いたのかハッとした表情を見せた。
一応言っておくが俺は雨宿りがしたいだけだからな!!!


「あなたのその意思表示は反則です。」

「何か言ったか?」

「…いえ。では行きますか。雨宿りしに。」


止む気配がない雨に野郎2人ずぶ濡れになっているのですらおかしい光景だというのに、古泉は暗いからバレないという理由で俺の左手をしっかり握っているこの状態を見て笑いたきゃ笑えばいい。


今日だけは七夕に免じて許してやるさ。


END


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キョンデレっ(笑)

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あきゅろす。
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