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飽きもしないで素晴らしい妄想力を見せ付ける古泉は本日も一人元気に妄想をしていた。


…………俺の家で。




事の始まりは妹が持ってきたアルバムが原因だ。

古泉が目を輝かせて見たいというから見せてやれば『わぁ〜』とか『きゃ〜』とか言いながら1人どんどんテンションを上げていき最終的に妄想ワールドに突入というわけだ。

こうやって突然放置される事にももう慣れた。嗚呼慣れたさ。

だがな、いくら慣れてもつまらないものはつまらない。気に入らないものは気に入らないのだ。


何処か遠くを見つめ口元を緩ませている古泉に俺は思いきりデコピンをくらわす。

擬音を入れるとしたら『ズビシッ』という感じに。


「キョンくん痛いです。」

「お前が人の家で勝手に妄想をふくらませてるからだろ!!」

「だって小さい頃の貴方があまりに可愛いからじゃないですか!!」

何がだってだバカ野郎!!
自慢じゃないが俺の小さい頃なんて『無愛想』と呼ばれる程の可愛くないガキだったんだぞ!!お前の目は節穴かっ!!


「それは周りの大人達の目が節穴だったんですよ。ほら、見てください!このキョンくんとか可愛くないですか?アイスをあんな美味しそうに頬張って…。」

「…………可愛くない。」


本当に可愛くない。
なんだこの誰かにガン飛ばしてるような視線は!!もっと笑顔とか出来なかったのか小さい頃の俺!!!どのへんが可愛いのか是非教えてもらいたいくらいだ。……いや、止めておこう。古泉に語らせた日には大変なことになりそうだからな。


まじまじとどの写真を見ても同じような表情ばかりで面白みもない。正直妹の方が表情がコロコロ変わってて可愛いではないか。


「妹さんも可愛らしいとは思いますが…やはりこの半ズボンのミニキョンくんが1番です!!」

「胸張って言うなバカ野郎!それだけ聞くとお前、幼児好きの変態だぞ。」

「安心して下さい。キョンくん限定ですから!」


俺はどのへんに安心したらいいのだろうか。むしろ不安の方がでかくなった気がするのは気のせいではあるまい。

小さくため息をついて古泉を見れば相変わらず写真に夢中なようで。……まぁ、いいんだけどな。あの無愛想時代の俺なんかが可愛いなんて言う奴なんて古泉ぐらいしかいないだろうし、悪い気は…しない。

だがな古泉、その無愛想なガキは成長してお前の目の前にいるというのに構ってくれないとは何事だ!?

生身より写真の方がいいとか言ったらアルバムの角でぶん殴ってやる。


俺は古泉から無理矢理アルバムを奪って目の前に立ちはだかってみる。

古泉は名残惜しいような顔をしながらも俺の腰に手を回して丁度胸の辺りに引き寄せてきた。


「そんなアルバムに嫉妬しないで下さい。」

「……してねえよ。」

「嘘つきですね〜キョンくんは。そんなところも大好きですが。」

「…煩いっ」


まるで子供をなだめさせるようにポンポンと背中を叩いてくる。

心地いいような歯がゆいような感覚に俺はそっと目を閉じ古泉の首に腕を回したのだった。






━━━━━………
それから約1時間後。


構ってくれとは言ったが抱いてくれなんて一言も言ってないんだがどうして俺は腰が痛いんだろ〜な〜…なぁ古泉!!!!


「いいじゃないですか。これが大人の愛し方ですよ。」

「そんな愛され方なんて俺は御免だぁあ!!!!!」


静かな住宅街に俺の悲痛な叫びが響いたのは言うまでもない。


END


━━━━━━
オタ古泉が人気なんでまたも書いてみる。
書きやすいのは何故だろう…キョンデレはホント書いてて楽しいですwww


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