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*エンドレスエイトのように世界をリセットしては繰り返すこと前提。


なんとな〜く踏まえたうえで読んで下さい♪










世界が再構築される音を、僕は今まで何回聞いたのだろうか…。

その度に思い知らされる。僕はこんなにも無力で、大好きな彼すら守れないという事を…。





【永劫回帰】
〜278回目の9月15日〜





神の力を持つ少女『涼宮ハルヒ』は無自覚のままその力を使っている。

"気に入らなければやり直す。"


神がそう決めた日から世界は何度上書きを繰り返してきたか分からない。

何千何百という程の繰り返される再構築の中、僕だけが全ての記憶を持っていた。

忘れる事を許されない僕はただ一人、世界を壊す神人を倒してほんの少しだけ守るのだ。世界を、そして彼を…。





━━━━………

「おい古泉!!お前俺の話聞いてたか!?」

「えっ…あの、すいません。考え事をしていました。」


今は彼と買い出しに行っていることを忘れてすっかり自分の世界に浸っていたようで。彼はなんとも気に食わないといった顔で此方を見ていた。

今は9月15日……これでこの日をやり直すのも200回を越えたのではないだろうか。


最近の彼女は些細な事に不満をもち、そして世界を変えていく。なんとも理不尽な神に僕は正直呆れるしかなかった。


「あのなぁ…ハルヒの奴が1時間で戻ってこいって言ってたろ!このままじゃ遅刻してまたどやされる!!」

「あぁ、それはマズイですね。…急ぎましょうか。」

「まったくだ。お前何回ハルヒに怒られれば………って、あれ?買い出しで怒鳴られた事…あったか?」

「………さぁ?」


彼がデジャヴにあうのは約50回目くらいか。最近は頻繁に起きている気がする。

約1週間、もしくは1ヶ月に1度世界は再構築されゆっくりと進んでいるのだが最近は酷すぎる。3日に1回といった頻度で世界は作り替えられているのだ。

9月15日に買い出しに行き、彼女に怒られたのは約120回。


考えると気の遠くなる話かもしれないが僕からしたらまだまだ短い出来事に入る。今まで一番長かったのは…やはり夏休みの15497回か。


ふと僕の前を歩く彼を見れば長い登り坂に不機嫌な表情を見せて額に滲んだ汗を拭っていた。

最近は神人の出現率が高くなっている。この世界も時間の問題で何日後かに再構築されるのだろうと僕は予測していた。


ならばと思い彼の腕を掴む。

200を越える9月15日で彼の腕を掴んだのは9回目。

彼の驚いたような、そして嫌そうな顔は相変わらずだ。


「…なんだよ。」

「いえ、どうせ今から急いでも間に合わないと思いまして。少し疲れたので近くの喫茶店で休みませんか?」

「お前…案外諦め早いな。」

「そうかもしれません。さぁ行きましょう。奢りますから好きな物を頼んで下さい。」

「ちょっ、引っ張るな!手を繋ぐな!自分で歩けるって!!」


彼の手を握り近くの喫茶店へと向かう。きっと彼は顔を赤くしているのでしょうね。

こんなに幸せだと思える日すら書き換えられるのは、少し悲しいかもしれない。何故なら、僕だけが持つ思い出なんて何の意味も持たないだろうから。



それでも僕は記憶に刻むのだ。

彼との思い出を…。
何度も、何度も。




世界が変わる前に、少しの楽しみを、幸せを僕に下さい。



それだけで、僕は頑張れるから。彼の記憶に残らなくても、独りだとしても。





夢じゃないこの現実は今日の0時に書き換えられる、そう僕は感じとって自嘲気味に笑った。



サヨナラ世界。

また明日、新しい世界で逢いましょう、愛しい人よ。


END



━━━━━
『永劫回帰』…ニーチェの根本思想。あらゆる存在は意味も目標もなく、永劫に繰り返されるが、この円環運動をあえて生きる決意をする者は生の肯定に転じている。永遠回帰。(大辞林 第二版より)

っということで、実はこの設定で長編が書きたいと1人思い、とりあえず短編として書いてみました。神に抗う古泉の話の一部(笑)

この世界の古泉はハルヒが嫌いです。(爆)
いつか書きたいな長編…(憧れ)


お粗末さまでした☆


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