最近何度も繰り返し見る夢に、僕は正直嫌気が差していた。
何故彼が出てくる?
彼は重要な『鍵』であってそれ以上でもそれ以下でもないはずだ。
気持ちとは裏腹に毎日イヤという程見る夢はどこか幸せそうで。
僕も彼も楽しそうに笑っていて、なんてくだらない夢なのだろうかと目覚める度に思う程に。
そう思うのに、何故だろう。少し、本当に少しだけ胸が締め付けられるような感覚を感じてしまう。
今日もお決まりのようにいつもの夢を見て目覚める。ハァっと小さくため息をついて目にかかった前髪をかき上げた。
時計を見れば6時を過ぎた頃で、学校が始まるまでは時間に余裕がある。持ち帰っていた機関の書類に目を通しておこうと散らかった机の周りを調べると一枚別の書類が出てきた。
「…タイミング悪すぎだ…。」
思わず出た独り言が今の自分の心境を物語っていた。その書類は以前機関から渡された彼の調査資料で。ご丁寧に写真まで貼ってあるのだが今ほどこの資料を捨ててしまいたいと思ったことはない。
貴方がいるから僕の心が掻き乱される。
貴方がいるからあの夢を見るんだと勝手な文句を考えては彼の顔がちらつく自分自身が信じられなかった。
夢の中の僕は笑いながら彼に触れていた。
抱き締めていた。
そして、キスまでしていた。
気持ち悪いと思えないあたり始末が悪い。一体自分はどうしてしまったというのだろうか。
考えたって答えなんて出ない事は大分前から分かっていた。ただ、好きなんだと自覚したくないのだ。自覚したら、もう…戻れなくなる。
ゆっくりと起き上がり綺麗にハンガーに掛かっている制服に腕を通して身支度を済ませる。
資料は捨てずに綺麗に折りたたんで引き出しにしまった。写真の彼はあどけない表情で笑っていて、それだけが脳裏に焼きついて離れない。
「もう、うんざりだ。」
どこか吐き捨てながら言ったこの言葉は一体何に対してだったのだろうか。
まだ分からないフリをして僕は静かに部屋を後にした。
空が眩しい。
僕にとって彼も、この空のように眩しいのだ。
それはまるで愛しい程に…。
END
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ノーマル古泉がガチになる瞬間(笑)
実はこれ違うジャンルで書いた小説を古キョンにリメイクしてみたのです☆
髪をかき上げる仕草は萌えますよね♪
お粗末さまでした☆
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