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*ハルヒが古泉とキョンの恋愛事情を把握しているという世にも奇妙な話です。









人生何が起こるか分からないわけで。
だから面白いのだが、俺は古泉と付き合っている。もう既に予想外だ。

ドキドキするとかいう感情以前に俺は日々溜まっていく『独占欲』や『ヤキモチ癖』や『心配性』といった、今までなかった感情に心底苦労していた。

これでは非常にマズイと頭では理解していたが、中々そんな欲やら何やらを抑えられないでいたのだ。





気温も湿度も急上昇の6月半ば。
今日も今日とてSOS団は活動をしているのだが、副団長である古泉がなかなか部室にやって来ないでいた。

いつもならハルヒが遅いだなんだ言って俺を古泉捕獲隊として使うわけだが、今日はそんな素振りも見せないで熱心にサイトの更新に勤しんでいる。


「なぁ、ハルヒ。古泉の奴遅くないか?」

俺は朝比奈さんが淹れてくれた茶をすすりながらさりげなく聞いてみる。

「あんたが古泉君の心配するなんて珍しいわね。やっぱり同性同士親睦を深めていたのね。関心関心。」

ハルヒは一瞬驚いたような顔をして一人勝手に俺の心情を解釈したみたいだ。
ある意味親睦を深めたがそんなことより古泉はどうしたんだ?肝心の部分が未だ謎である。

「古泉君はね、ホームルームが終わってから女の子に呼び出されたみたいよ。今頃告白されてるんじゃない?」

……告白だって!?
そりゃ確かにアイツの顔はハンサムの部類だ。スポーツをしていなくとも爽やか青年と言われるような得な顔をしている。

だから結果として女子にモテるのも必然的だ。
そんな事分かりきっていた事だ。だが実際の俺は限りなく焦っていた。

古泉はホモではない、と本人が言っていた。好きになったのがたまたま俺だったらしい。
そんな訳で女の子も大丈夫ということになる。

もしも今古泉に告ってる女子が古泉のタイプだったら俺と別れてその子と付き合うかもしれない。普通に考えればこの結論に行き着く。

それは非常に嫌だ。正直今すぐその告白現場を妨害しに行きたい心境だ。

「…ねぇ、キョン?」

「……あ、あぁ。なんだ?」

突然ハルヒに話しかけられ、脳内会議を開いていた俺は反応に遅れた。
ハルヒは呆れたような顔でこちらを見ている。

盛大な溜め息をついたかと思うとハルヒは右手人差し指を俺に向けてビシッと向けてきた。

「あんたねぇ、気になるならさっさと古泉君迎えに行きなさいよ!!!校舎裏っていうお決まりな所にいるはずだから!」

「きっ気になるなんて言ってないだろ!?」

「煩いわね!顔にデカデカと書いてあるのよ!これは団長命令よ!5分以内に古泉君を捕獲した後帰ってきなさい!分かったらさっさと行くっ!!!」

なんだその勝手な見解は!?
確かに気にならないと言えば嘘になるのだが、だからってお前から俺の背中を押すなよ!


有無を言わせないハルヒは俺を無理やり部室から追い出しやがった。
これではマジで古泉を連れてこなければハルヒのお怒りを受けるかもしれない。

俺はハルヒの言っていた校舎裏へと重い足取りで向かうしか道は残されていなかった。

それにしてもハルヒはどこでそんな詳細な情報を手に入れるんだか、まったく不思議なもんだ。











「まったく、キョンってホント分かりやすいわよね。知らないフリするのも結構辛くなってきたわ。」

「ホントキョンくんは古泉君が大好きなんですね。」

「男同士が不毛だとか本人達の問題だと私は思うから文句は言わないけどね。ただ何かキョンを見てると行動に移せない弱気な女の子を見てるみたいで我慢ならないのよ!いつもあんだけ古泉君と話すときは嬉しそうな顔してるのにちょっと何かあるとすぐあんな感じになるんだから。」

「…ユニーク。」

キョンが古泉を迎えに行ってから、ハルヒは肩を回しながらそんな愚痴をもらしていた。

実はハルヒも朝比奈さんも長門もSOS団の恋愛事情をしっかりと把握していたのだ。
そして毎回女の子だけになると"今日の2人"という題目で話をするのが日々の日課になっていた。


「あの不安そうな顔ったら、見てるこっちが疲れるわよね。無自覚なバカップルってタチ悪すぎ。」

ハルヒはいつか2人を題材とした女の子向けの写真集でもだしてささやかな報復でもしようかと考えるのであった。

それが実現するのは、もう少し先の話である。


END


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注意書きにも書いた通り、ハルヒ(含む女性陣3人)が男性陣のお付き合いを黙認しているという話でした(爆)
絶対本編の設定を考えたら有り得ないことをあえてチャレンジ!…ハルヒさん、次回は2人の写真集製作のお話ですか!?(笑)

ちなみに、告白現場からの話は企画小説『好きって言うからよく聞いて。』に続きます。



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