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※古泉とキョンが機関の人間設定。





今日、古泉が怪我をした。
アノ閉鎖空間で。

俺を古泉が庇ったのが原因だ。
俺がもっと神人の動きを察知し、自分の身くらい守れていれば怪我なんてしなかったに違いない。

少し眉にシワを寄せながらも"心配しなくても大丈夫です"なんて言っていたが、そうは見えなかった。
えぐられた腕は痛々しかったのを今でも覚えている。

今更後悔しても遅いというのに。

呆然と立ち尽くす俺は無力だった。
自分一人じゃなにも出来ない。古泉に迷惑をかけるだけだ。


俺は何が出来る?
大切なものが自分の両手から静かに零れ落ちていく感覚に襲われる。

それでも止めどなく溢れる後悔に押しつぶされそうになりながらも俺は古泉が搬送された病院へと車を急がせた。








病院に着き、早足で古泉がいるであろう病室に向かう。
さっき面会謝絶の指示を出しておいたので誰も居ないはずだ。

扉の前で一端止まり、小さく深呼吸をしてから軽くノックをし病室に入る。そこには左腕に包帯を巻いて点滴を受けている古泉がいつもの笑顔で、当たり前だが居た。


「…怪我、大丈夫なのか?」

「見た目ほど重傷ではないですよ。この点滴も不規則な食生活が医者にバレてしているんですから。」

「…悪い。俺がもっとしっかりしていれば…。」

謝りながら自分が震えている事に気付いた。

俺は怖かったんだ。
古泉がもう戻ってこないのではないかという飛躍しすぎた不安が祓っても祓っても付きまとう。

どうしていいか分からず、衝動的に震える手で古泉の頬に手を滑らせる。確かに感じる古泉の体温がどうしようもなく切なかった。


「貴方が謝る必要はありませんよ。僕は僕の意思で行動したんです。」

俺の手を包み込むように古泉の右手が重なる。

そうやっていつもの様にお前は俺を許すんだよな。
決して責めたりしないで笑って前だけを見ているんだ。

今まで何度救われてきたか分からない。
それがお前には当たり前になってるんだろう。


視界は溢れる涙でぼやける。
俯きながらゆっくりかぶりを振って搾り出すように呟く。

「俺は、世界の崩壊よりもお前が居なくなることが怖いんだ。」





そんな困った顔するなよ。




あの時、俺が確かに願ったのは世界の維持じゃない。
お前の無事だけだったんだ。

END


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