[携帯モード] [URL送信]


世界の為とか、
彼女が望むならとか、
そう簡単に諦めるな。



お前が消えた世界なんて


俺は…


いらないからな。








最近閉鎖空間の発生頻度が多いらしい。原因は俺だ。

俺が最近ハルヒに構ってやれてないから。


知ってしまったのがいけなかった。

ハルヒが古泉の存在を無意識に消そうとしていることを。

この原因も俺。
きっとアイツは何となく気付いたのだろう、俺と古泉の関係を。

俺はハルヒをそういう対象で好きにはなれない。
でも、そんな関係をハルヒは頭のどこかで願っているのだと以前古泉と長門が言っていた。

ハルヒの願いを叶えられるのは俺だけで、だけど叶えることは出来なくて。どう対応したらいいか分からなくなった俺は逃げたんだ。

考えることから。そして、ハルヒからも。



古泉はただ笑っているだけで何も言わない。俺を責める事もしないで毎日神人退治に行っている。


俺には何の力もない。
何も出来ない、してやれない。


なのに何故俺を求めるんだハルヒ。

何故俺じゃなく古泉を消そうとするんだよ。



頭が痛い。
最悪の結末なんて考えたくない。




俺はまだ…
古泉の傍にいたいんだ。






気付いたら自転車をこいで古泉が住むマンションまで来ていた。
柄にもなく焦りながら、必死にインターフォンを押して古泉が出るのを待つ。



「…はい。って!キョン君!?こんな時間にどうしたんですか!?それに凄い汗ですよ!?」

多分数秒だったと思う。古泉がドアを開けて出てきたのは。
だけど俺にはそんな時間が何分にも何時間にも思えて不安で泣き出しそうだった。

ぼやける視界で、しっかりと古泉を見れば状況が分からない為に慌てふためく表情をしていて。嗚呼、確かにコイツはまだ此処にいるんだと思えたら自然と身体が動いていた。

しっかりと古泉の背中に腕を回す。
胸元に顔を寄せて体温を感じた。

温かい。心地良い。
確かに今傍にいるのは古泉一樹なんだと、そう触れて感じられて感極まって泣いていた。


「だっ大丈夫ですか!?とにかくタオル持ってきますから。」

「っ行くな。大丈夫だから、まだ行かないでくれ…」

まるで幼い子供のようにしがみ付いて駄々をこねる俺に古泉は優しく頭を撫でてくれる。
そんな手の温もりや、優しささえも切なくて、愛しくて、しばらく止まりそうもない涙を古泉の胸の中で流し続けた。


「お前が居なくなるなんて、嫌なんだ。考えただけでおかしくなる。だけど、俺は何も出来ない。ハルヒを選ぶことも、お前を諦めることも…出来ないんだっ」

「それで良いじゃないですか。未来はどう変わるか誰にも分からないんですから。」

「だけどっ!!!」

お前がそうやって諦めて笑うから。
受け入れてそれでも未来を願うから。

だからこんなにも不安になるのだと、言ってやりたかった。
いっそ喚き散らして困らせて嫌われたほうがマシだ。

「これでも、僕は僕なりに探しているんですよ。僕達が幸せになれる未来を、ね。」

だから泣き止んでくださいと耳元で囁かれながらきつくきつく抱きしめられる。

世界の為ならとか、
彼女が望むならとか、
そう言いながらも『俺たちが幸せになれる未来』を探しているなら…




なぁ、いっそ逃げてしまおうか。






古泉は少し困ったような顔をしながら笑う。


泣きながら笑うんだ。




「お前までっ…泣くなよ。」


声にならない二人の声が静かに夜の闇に響く。





一緒にいたい。
ただそれだけなのにな。

END



━━━━━━━━
ヤンデレに挑戦したはずなのに結果的にヤンデレになったのかは激しく謎になりました(爆)
とりあえず悩みすぎて若干病んでるキョンが書けて満足です。

戻る



あきゅろす。
[管理]

無料HPエムペ!