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カリカリカリ、
紙の上をペンが走る音がする。
仕事が終わらなかったと、持ち帰ってきたようだ。
明日、一緒に出かける予定だからだと思う。

折角来てくれたのにごめんね、といつもの優しい、でも申し訳なさを含んだ笑顔で僕の頭をぽん、と撫でた。
仕事なのだから仕方がない。
ソファーでココアを飲みながら仕事をするダイゴさんを見て、小さくため息をつく。

勿論、ダイゴさんにではなく自分自身に。

寂しいと、思ってしまう自分に。

十以上も離れている年。
一生縮まらない年齢。
周りからはしっかりしている、とか大人びているとか言われるけれど。
本当の大人と一緒にいれば、どれだけ自分が子どもかを思い知らされる。


「ダイ、ゴさん…」


小さく、本当に小さく聞こえないよう名前を呼んだ。
近くにいるのに、とても遠くにいるような感覚。

僕は仕事なんてした事もないし、勿論仕事の大変さも分からない。
頑張ってください、とは言うものの、これ以上頑張ってもらっては一緒にいる時間がまた減ってしまう。


…仕事に嫉妬とか、本当に馬鹿らしい。


「ルビー君、呼んだ?」

「……へっ?」


気付けば目の前にダイゴさんの顔が。
あれ、仕事終わったのかな。


「寂しかった?」

「はっ?な、何言ってるんですか静かで丁度良かったですよ!」

「ふうん、そっかー」

「な、何ですか笑って…」

「じゃあ仕事は終わったけど石の整理でもしてようかなあ」


邪魔したくないからね、とダイゴさんは付け加えた。
…ダイゴさん、いじわるだ。


「………寂しかったですよすごく!折角来たのに近くにはいられないし邪魔しちゃいけないと思って話しかけられなかったし!」


……言いたくなかったのに。
こんな我が儘、子どもでしかなくて。


「うん、ごめんね。僕もルビー君がいるのに隣に居られないのは寂しかったよ」


ぎゅ、と優しく抱きしめてくれるダイゴさん。
こうやって、いつも甘やかしてくるんだ。
だから僕も、我が儘を言ってしまう。


「ルビー君はね、もっと我が儘言ってくれていいんだよ」

「…いつも、我が儘ばかりですよ」

「まだまだ言ってよ。恋人の我が儘なんて嬉しい事だらけなんだから」


ほら、ダイゴさんはいつも僕をこうやって甘やかす。
だけど、それがとても心地良くて、結局いつも我が儘を言ってしまう。


「…じゃあ、」

「うん?」

「明日は一日、一緒にいてください」

「そんなの、僕も一緒なんだから我が儘に入らないよ」


そう言って、ダイゴさんは僕の額に口づけた。
うん、今すごく幸せ。


「さ、今日は早く休もうか。明日の予定を立てなきゃ」

「そうですね」


とにかく、一緒にいられればそれでいい。
ずっと一緒にいてください。

こんな事、絶対言えないけれど。


◎あとがき
初ダイルビ!いつも素敵ダイルビ文やイラストを見て滾っていましたが、いざ書いてみると難しい…!何だかこのダイゴさんは爽やかすぎて胡散臭いww
ルビー君大好きはあはあペロペロなダイゴさんも好きです^///^←





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