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注:EDネタバレあり




「トウヤ、君」

「なに?あー、もう。やっと捕まえた」

「あ、あの…え、っと…」

「……」

「な、なん、で…」

「………」

「こんな事、に、なってるの…?」

「…ああ、」


待つこと数十秒。やっと、目の前、というか俺に下敷きにされているNの言いたいことが分かった。


あれから、随分探した。
コイツが行きそうなところは全て探した。
それらしい人物を見たとの情報が入ればすぐに向かった。
少しでも関わりのある奴には話を聞いた。


で、やっと。見つけた。
見つけて、こうして逃がさないように。


「押し倒してんの。分かる?」


多分、分からないだろうけど。
彼は、酷く偏った知識しか持ち合わせていなくて。
勿論こんな体勢から連想される何かなんて見当もつかないだろう。


え?なに?と目線で訴えるN。
真っ直ぐに俺を見つめてくるその目は、

なにもしらないひとみ


「俺がNを好きだからこうするんだ」

「す、き…?」

「うん。好きだよ、N」

「……っ」

耳元で囁けばびくり、と震える身体。
既に真っ赤に染められた頬。

これは、かなり、そそる。


我ながら汚いとは思うけど。
愛を知らない、けれど誰より愛を欲しているこのNにこの言葉を発するのは。


けれど、俺ももう限界だった。


「俺がさ、一から全部。教えてあげるから…」



もう、俺から逃げないでよね。

「…トウヤ君?」
「ん?いや、何でもない」

ちゅ、と軽く額に口づければこれ以上ないくらい更に顔を赤くするN。
どうやらキスくらいは知ってるみたいだ。


「と、とっ!トウヤ、君っ!いっ、今何して…!」
「キスだ「うっ、うわあああああぁぁっ!!」…けど」


たかが額にキスしたくらいでこの騒ぎよう。これ以上先なんてしようものなら失神しちゃうんじゃないの。


「こんなの…は、恥ずかしいよ…!」
「そこまで照れられるとこっちも照れる…」
「えっ、う、ごっごめ……んっ!」


この先のNがもっと見たくて、失神しちゃうんじゃないかなんて思ってたのに思わず唇に口付ける。
もう、あとはとまらない。


「…ん…っ…ふ、ぁ…」


息継ぎに慣れていないのか、苦しい、と弱々しく俺の胸元を叩くN。


「…鼻、で息すんの」
「…っ、む、り…」


本当は、止めてあげたいけどこんなNを前にしたら止められるわけがない。
上気した頬に、湿り気を帯びた唇に。抵抗とは呼べない弱々しい力。


「…ん…っ…」


でも流石に可哀想で、最後にちゅ、とリップ音を残して唇を離す。ツ、と銀糸が俺とNを繋ぐ。


「……っ、トウヤ、君…?」

「うーん、参ったな。予想以上にヤバい」

「…、え?」

何がヤバいって俺が。
次は、多分、我慢できない。


「今回は仕方ないね。そんな顔されちゃいくら俺でも無理」

「と、トウヤ君…」

「ん?何?」

「な、何でこんな事、するの…?」

「勿論Nが好きだからだけど?」

「こ、んな僕を好きになる人なんて…」

「いるじゃん、ここに」


ん、と自ら自分を指差す。

俺だって何でだよ、って思ったっつーの。
こんな電波っ子、相手にするだけで疲れるし。

でも、放っておけなかった。

こいつを取り巻く人間だとか、あの部屋だとか、諸々。
そう言うの見ちゃったら、守りたいとか思うだろ。

本当は、優しくてすごく弱い人間で。
自分は傷ついてもいいのに、ポケモンには傷ついてほしくないとか、そんな風に一人で抱え込んで。


「まあ、それは追々な」

「…?」

「俺が一から教えてやるから。もう、俺から逃げるな」


ふわふわの緑の髪を指で梳いて、ぎゅ、と抱きしめる。


きゅっ、と俺のパーカーを掴んで小さく、うん、と呟いたNに俺も小さく溜息を吐いた。



(何だこの生き物可愛すぎるだろ!)


◎あとがき
ぴくしにあげたやつでしたー。ちょっと続きます^^

11.02.12


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