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「…あ、あの…お邪魔、します…」

「はい、どうぞ。階段上がって右が俺の部屋だから」

「先、行ってればいいの?」

「うん。飲み物とか持ってくから」

「わ、分かった」


今日は、何とトウヤ君の家に遊びに来てしまった。
トウヤ君には、お母さんと遠くで働いているお父さんと、双子の妹さんがいるらしい。
けれど、今日はお母さんと妹さんはお父さんの所に遊びに行ってるみたいで、トウヤ君一人なんだそうだ。


正直、やっとトウヤ君とお話が出来るようになったばかりだし、助かる。
まだ、他の人と上手くお話できる自信は、ない。(トウヤ君と上手く話せてるのかは別として)


「お待たせー、」

「あ、うん。全然待ってないよ」

「ポケモン、ボールから出せばいいのに」

「え、いいの?」

「うん。俺も結構好きにさせてるし。ほら、出ておいでー」


トウヤ君の持つモンスターボールからは、ミジュマルとツタージャ、ポカブが出てきた。


「あれ、ミジュマルは前からいたけど…他の2匹はいたっけ?」

「うん。ベルとチェレンからたまご貰って」

「へえ…うん、良い人たちなんだね、その二人」

「分かるの?」

「うん。この子たちの親ポケモンの気持ちが残ってる」


優しい、やさしい気持ち。
触れるだけで、気持ちが暖かくなる。


「今度、紹介するよ」

「え?」

「ベルとチェレン。後トウコも」

「うん。ありがとう」


嬉しい。僕が、ポケモン以外の人たちと一緒にいられるなんて。
トウヤ君のお陰だ。
そこで、気になることが一つ。


「…どうして僕なんかにここまでしてくれるの?」

「………、」

「トウヤ君…?」

「はー…、何て言うか。中々報われないね、俺も」

「え、え?」

「この前ヤキモチ妬いてくれたから少しは期待してたんだけど」

「ヤキモチ…?」


さっきから僕にはよく分からない事ばかりトウヤ君の口から出てくる。
報われない、とかヤキモチ、とか。


「うっそ、自覚なかったの?」

「自覚…?」


ヤキモチ、ってようは嫉妬の事だよね。
羨んだり、妬ましかったり、って人間ではよく見られる感情。
……、あれ。
もしかして、あの時の気持ちってヤキモチ、だった?


「…っ、え、嘘だ…。だって、そんな事…」


僕は、ただトウヤ君と、トモダチと、一緒にいられれば良かったんだ。
トウヤ君も、僕を好きって言ってくれて…うわあああ、そう言えばキス、された事もあったんだった。
今まで、トモダチと愛情表現としてはキスくらいした事はある。ただ、あんなのじゃない。頬に、触れるだけの。


「N?」

「……っ!!」

「…顔、真っ赤だよ」


鋭いトウヤ君の事だ。僕の考えていることなんてお見通しなんだろう。
その証拠に、ほら、この笑顔。


「…ねえ、期待外れじゃないって事でいい?」

「……っ、し、知らない…っ」

「えーぬ、」

「な、何…って顔!近い、よ…!」

「近付けてるんだから当たり前でしょ」

「…っ、ん、」

「ま、この前みたいに夢中になって逃げられるのも嫌だしね」


軽く、触れて。すぐ離れた、トウヤ君の顔。
…いやいやいや、寂しいとかそんな事思ってなんかない。
もう少し、整理する時間が僕には必要だ。一度にたくさんの事が僕の中に入ってきて。何がなにやら分からない。
僕の気持ちは一体、

もうほとんど、答えは分かっているようなものだけれど。


◎あとがき
Nたん自覚するの話でしたー。自覚…うん、したした!
やっとトウヤ君が報われそうです。
ナツコ的設定ではトウヤトウコは一卵性双生児、トウヤ君がお兄ちゃん、トウコちゃんが妹です。その内、その他設定アップします^^







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