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「ねぇ、好きな人おるん?」
「ウチ?え、あ、う、ウチは!」
「えー、その反応はいるでしょ?」

私ら花の中学生。こんな話題はもう日常。今だって仲の良い子同士集まって話しているのはこの間のテストの話題から好きな人の話題になっちゃっていた。でもしょうがない。だって私達…以下略、なんてね。

「うん。う、ウチね、あ、あの、忍足君好きやねん。かっこえぇしおもろいし…」
「え、忍足君!?そうだったんだ!」

びっくり告白をした友人に一気に視線が集まる。勿論私も集めたひとり。だって女の子ですもん、恋の話題には興味津々なの。
でも口から出た名前にはびっくりした。だってあの忍足君。テニス部で人気な忍足君なんだもん!真っ赤にしてそれを語るその子がまた可愛い。
だけど可愛いなんて言ってる場合じゃなくて…

「で、自分は好きな人はおるん?」
「わ、私!?」

当然、私にだってその話題が振られる。当たり前、私だって女の子、花の女子中学生。
ど、どうしようどうしよう…!
いないよ、なんて言ってみたものの、嘘やろー!なんてみんなが突っついてくる。
…私なんで嘘吐くの上手くないんだろ…
でも…うん…私、はっきり言って…あの子が忍足君…って言った以上に自分の恋は無謀なんて分かってるんだ…


好きな人、白石蔵ノ介君。

人気、最早四天宝寺で一番に等しい。


…うん無謀。

でもね、白石君スッゴく好きなんだ。勿論かっこいいしテニス上手だし…だけど一番好きなのはやっぱり優しかったところ。
白石君は目が沢山あるんじゃないかってくらい周りの人の事に気付いて、それで気を使ってくれる人…なんだよね。
委員会一緒なんだけど、さり気ないフォローとか本当に凄いなって思った。
…ただ、私以外にそう思う人なんて沢山いる訳で…
ライバル沢山な白石君。私を見て欲しいな、なんて思いはするけど…

「自分手ごわいなー。えぇやんウチらだけの秘密やって。あ、何なら名前紙に書いてくれてもえぇよ」

だけど私達は恋に憧れる中学生。無謀無謀と分かっていても、やっぱり教えたくなっちゃうのが恋。恋バナやっぱり大好きなんだもん。
友達が出した打開策に、私もそれなら良いかな、なんて思ってじゃあ書くから見ないでねー、なんて少し離れた席で真っ白な紙に名前を書いた。白石蔵ノ介君って、彼の名前を。

「で、出来た…!」

紙に書くだけなのに妙にどきどきする。私の出来たコールで友達が私の周りに集まり、どきどきとわくわくが混ざった心境で紙を渡そうとした。
…しただけ、だった。

「おーなんやその紙、めっちゃ気になるやん」

げ、まじかよ。
良いタイミングで教室に入って来ちゃったのは新聞部の男子達。うわ最悪。一番知られたくない人達じゃない…

「べ、別になんでもないよ!」
「ふーん、ならなんで隠すん?見せてくれてもえぇやん?」

嫌だ嫌だ嫌だ!というか何でこんなしつこいのよ!
紙に書いた名前を見られたら絶対に突っ込まれる事間違いなし。しかも…ヤバい窓際絶体絶命。
どうしようどうしようどうしようこんなの見られたくない絶対!
神様…!

「えいっ!」
「って、あぁー!」

もうどうしたらいいか分からなくなった私はさっき白石君の名前を書いた紙を慌てて折り直し、紙飛行機にして飛ばすという…後で考えたら意味が分からない奇行をして窓から飛ばした。風に揺られて白石君の名前が書かれた紙で折られた紙飛行機が落ちていく。良かった、これで少なくとも名前書いた人が私にはならない…
新聞部の男子は悔しそうに私を見ては何かを机の引き出しから出してまた教室から出て行った。良かったこれで…

「あ、白石君やん」

…え…?

さり気なく友達が言った言葉。
白石君?え、どこに?
…まさか…

「あ、紙飛行機拾った」

……まじかよオイ……まじかよオイ…まじかよオイ!
一難去ってまた一難という言葉が今の状況にはぴったりだと思った。
だって私が飛ばした紙飛行機は…たまたま外にいた白石君に………拾われて……いた。
最悪、有り得ない…
無意識に顔に熱が集まる。絶対私の顔は真っ赤だ。心臓がばくばくする。だって名前本人に見られちゃう!恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしいよー!
見ないで欲しい。
…でもさ、大体紙飛行機の中に名前書いてるなんて思わないよねうん。それになんの事で書いたのかなんて分かんないよね!字だって私のか分かる訳ないだろうし!

「これ、どないすればえぇー!」

悶々と考えていた私の意識を戻したのは下から掛かる白石君の声。はっとして外を見れば白石君が小さな紙飛行機を持ってこっちに呼びかけていた。

「ごめんねー、それ捨てていいよー!」

外に飛んでいったしかも名前入りの紙なんてまた持ってきて貰うのも微妙な気がする。そして途中で男子乱入したために色々冷めちゃった私達の話題はこれで終了し、それぞれ帰る事にした。

………下駄箱にまさかのマジックが仕掛けられてるなんて思わずに……


紙飛行機くるり、青春軌跡
(まだまだ中学生な私達の、青い春の話)


下駄箱に入っていた紙飛行機には、白石君の名前の横に好きやで、と書き足されていたものだった。



同僚に電話を掛けたら紙飛行機が絡んだ某曲が流れたのでつい使ってみたもの。こんな中学生が今いるかは謎ですが(笑)そんな察しよくないだろうしさきっと。因みに標準語な子がヒロイン。
書いていたら14日になりましたねー、白石お誕生日おめでとう^^


2012.4.14.Sat
kirika@No more



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