ひっそり再録
「みーっかどっ」
今日も無邪気な幼馴染に僕は振り回される。
肩へと回される手、必要以上に密着している身体。
これが彼なりのコミュニケーションだと分ってはいるが、思春期の身体にはこの過剰なスキンシップは正直辛い。
男同士、普段なら気にしないだろうが、相手はあの正臣だ。
昔一緒にいるときは意識なんてしなかったのに、離れて会いたいと思ってその理由を考えてみて自覚して、一方的だとは思うけどこの状況はなんか、うん、複雑。
だから正臣の思っている関係を保とうと離れよう手で制するのに。
「帝人〜?なんだ、お年頃かー?そんな照れなくていいって。俺様がスーパーキューティクル可愛いのはわかるけどさぁ」
正臣は全然わかってくれない。
だからすこしでもわかってもらおうと、君は羊で僕だって狼なんだって。
君がいうと、洒落にならないんだって。
そう飽く迄脅し目的で受け身から一転体重をかけてごろんと押し倒してみた。
「え?ちょ?帝人?」
焦って半笑いになっている正臣に影をおとし、唇をはずしてキスをおくる。
・・といっても、本当は触れるか触れないかの位置で、ちゅ、と音をたてただけなんだけど。
そうして顔を離すと、正臣は一時停止みたいに固まって、それから白くなって青くなって、最終的には真っ赤になった。
「・・なんてね」
「お・・おま・・」
いたずらが成功したあとのちょっとした満足感に笑って舌をだしても、正臣は相変わらずリンゴみたいな顔で唇をおさえてぷるぷる震えている。
あぁどうしよう。予想以上に可愛くてくせになりそうだ。
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