おもちゃのキャベツ ** 番外 **
無知は有罪であるか。
「なぁシカマル」
「んぁ―?」
授業が終わったからさぁ帰ろう、と鞄を肩にかけたとき、後ろからナルトの声がした。俺は適当な返事をやり、自分でも間抜けだと思う表情でナルトを見た。
「なんだよ」
「なぁ。お前ってば彼女と帰らねえの?」
「はあ?」
俺は、いきなりなナルトの言葉に顔をゆがめた。何でお前に彼女の心配されなきゃなんねぇんだよ。
「なぁなぁ。帰んねぇの?」
「だぁ―うるせェな。俺が誰と帰ろうと俺の勝手だろ」
「ん、ん?まぁそうだけど。でもさ!もし俺に恋人がいたら俺ってば毎日でもその人と一緒に帰りたいなぁ」
ナルトはぼんやり左上を見上げながら(人は心理的に、何かを思いだそうとするときや妄想するときに左上を見るらしい)呟いた。多分、頭の中には例のテキ屋のおにいさんがいるんだろう。ナルトいわく、クールで本当は優しくて美形なおにいさん。けっ馬鹿げてる。
「はぁ。まだまだ妄想が続くんだったらおいてくぞ」
俺は溜息まじりにそう言って歩きだした。ナルトは左上の世界から帰ってきたようで、慌てて俺の横まで走ってくる。
「妄想って言うな!あとおいてくなってばよ!」
「うるせぇな。…じゃあほら」
俺は文句を言ってくるナルトの手を握った。ナルトは不思議そうな顔をして訊ねる。
「へ?何で手ェつなぐんだってばよ?」
「おいていかねェためにだよ」
……なんて、あきらかにくだらねェ口実。冗談めいた本気。でも、
「そっか!お前ってば優しいなっ」
馬鹿ナルト。気付けよ。お前こういうとこでも無知過ぎるんだよ。普通、手をつなぐっつったら……あぁ、もういいよ。めんどくせェ。
だってお前、馬鹿なくせにめちゃめちゃ笑顔なんだもんよ。
つづく(!?)