冬のアゲハ
「ずるい」
季節は春だが、気温節はまだ冬。外では雪がゴウゴウ降っている。部屋ではナルトがぶうぶう文句を言った。
「ずるい。ネジってばずるい」
「何がだ…」
俺は意味の分からない言葉を繰り返しいつまでもベッドに入ってこないナルトにため息をつく。今日みたいに寒い夜は、早くナルトと体温を分かち合いたい。
「だってさ!ネジ、今日もヤルンだろ」
「…可愛い顔して下品なことを言うな。でもまあ、確かに今夜もお前を抱くつもりだが」
だから早くこっちへ来い、と俺はベッドをポンポン叩いた。だがやはりナルトはこちらへ来ない。
「俺ってば今日はヤダ」
「……なぜだ」
「俺だけ、脱がされるのはずるい。裸は寒いんだってばよ」
なるほど、だからずるいか。
俺は笑った。
「そんなこと、」
「そんなこと、じゃねェ!俺ってば本気でヤなの!」
「はいはい。ならわかった」
「へ?」
俺はポカンとするナルトの手をグイッと引き、抱きとめた。そのまま耳元で囁く。
「なら今夜は、お前が俺の服を脱がせてくれ。激しくな」
わざとフッと笑んでやれば、ナルトの顔は赤く染まった。ウブなコイツが可愛くて仕方ない。
お前に与えられる寒さなら
きっと痛みでさえも
たえられる。
end