偉人の語った愛格言
愛してる、なんて言葉が吐けるうちはまだ、本当の愛を知らないんだと偉人は言った。だったら、今日も俺の腕にじゃれつき愛を囁くコイツは、まだ愛を知らないのか。
「サスケ、俺ってばサスケのこと愛してるよ」
「へえ」
「へえって、関心なしかってばよ」
ナルトはぷくっと口をふくらませた。その愛しいしぐさに、偽りの愛を感じる。
なあ、愛って何。
「ナルト、」
「む。何だってばよ」
「……サクラが、久しぶりにお前に逢いたいってよ」
「えっ…サクラちゃんが!?」
サクラの名前を出した途端、ナルトの顔色が変わった。頬は赤く染まり、目はいきいきしている。それでわかった。
―――俺は、サクラほどは愛されていない。
「…なあナルト、俺のこと好きか?」
「何だよ急に。さっきも言ったじゃん。愛してるって」
「…………そっか」
俺は、ナルトを愛してる。きっと…いや絶対、世界中の誰よりも。だけど、その大きすぎる愛をナルトに伝えることができない。「愛してる」なんて言えないんだ。
だから、いつか聞いた偉人の理論は、正論だと思うよ。
ナルトはまだ、本当の愛を知らない。
end